1-6節

ウイルス培養について

「分離について」で説明した通り、「ウイルス培養」とは「培養細胞の死滅」を意味します。

厳密な意味では、「ウイルスの増殖」ではありません。

 「厳密に」、と断ったのは、ウイルスを単離する技術が現時点で存在しないからです。

 単離できないので、目的とするウイルスが本当に増えているのかどうかを確認する手段がありません。

ですが、「増殖したことを確認する方法はある」と主張するウイルス学者もいると思います。
そこで、その方法がどんなものを聞くと、間接的に調べる方法であって、直接ウイルスの数を比較する方法ではありません。

増殖したことを確認する方法

ウイルス培養では、「分離について」で紹介した通り、「細胞変性効果」すなわち「培養細胞の死滅」でもって、「分離」すなわち「ウイルス培養」が成功したと考えます。

培養細胞が死滅する原因

細胞培養の世界では、培養細胞が死滅する原因には次の3つがあると考えられています。

  1. 栄養分の欠乏
  2. pH条件の変化
  3.  毒性廃棄物の蓄積

すなわち、培養細胞が死滅する原因はウイルスだけではありません。

ですから、「細胞変性効果が確認された」としても、必ずしも「ウイルスが増殖した」とは限りません。

したがって、「細胞変性効果が確認された」としても、必ずしも「分離に成功した」とは限りません。

国立感染症研究所の分離培養マニュアル

ウイルスの培養が実際どのように行われるのか見ていきます。

ここでは国立感染症研究所が出している分離マニュアルを取り上げます。

 

令和3年2月8日「感染研・地衛研専用」SARS-CoV-2  遺伝子検出・ウイルス分離マニュアル  Ver.1.1

ウイルスの分離方法は以下の通りです。

分離に必要な材料

前述の「感染」の定義を考えれば、ヒト細胞にウイルスを接種すれば、ウイルスは細胞に侵入し、そして増殖した結果、細胞を死滅させるわけで、ウイルスを培養するのにヒト細胞とウイルスだけあればそれで充分だと思われますが、実際には上記のような様々な薬剤が使用されています。

それぞれの薬剤について簡単に説明します。

  • VeroE6/TMPRSS2 細胞(ウイルスを培養するための細胞)
  • DMEM(細胞の生命維持のための培地です。ダルベッコ改変イーグル培地)
  • ウシ胎児血清(細胞培養のための増殖サプリメントです。栄養分です)
  • Penicillin-Streptomycin 溶液(培地添加用の抗生物質です)
  • トリプシン(細胞を剥がすために使用する)
  • ゲンダマイシン(抗菌薬、抗生物質)
  • アンホテリシン B(抗生物質)

細胞培養

ウイルスを培養する前に、まず培養細胞を培養しています。

この時、FCSを10%にしていることを覚えておいてください。

この状態では、当然ですが、培養細胞は死滅することなく増殖します。

ウイルス分離

培養した培養細胞に患者から取り出した検体を接種させます。

検体を接種した後にFCSを1~2%に濃度を下げています。

つまり、栄養分を減らしています。

細胞変性効果の原因が「栄養分の欠乏」の可能性

細胞変性効果がウイルスの増殖が原因であるならば、それ以外の理由で培養細胞が死滅しないように、FCSを10%のままにするべきだと考えます。

ウイルスを接種した後にFCSの濃度を下げるというのは、栄養の観点からも免疫の観点からも問題があります。

後で詳しく述べますが、血清は毒物を無毒化する作用があるからです。

そこで感染研に、細胞変性効果の原因に「栄養分の欠乏」の可能性があることを指摘し、その可能性を否定する検証をしているのか聞いてみました。

この質問に対して感染研は回答をしませんでした。

そこで、公文書開示請求をしました。

上の画像では、請求する内容が分からないので、下に改めて記載します。

「SARS-CoV-2  遺伝子検出・ウイルス分離マニュアル  Ver.1.1 」において次のような趣旨の内容が記載されています。
P15
3.細胞の継代
において培地をDMEM+10%FCSでベロ細胞を培養しています。
P16
4.2 ウイルスの分離方法
4)で、培地をDMEM+1~2%FCSに変更しています。

このことから、分離マニュアルの方法で細胞変性効果が起こる原因が、ウイルスの感染とは限らず、FCS濃度を下げたことによる「栄養分の欠乏」の可能性があることから次の文書の開示請求をします。
①FCS濃度を1~2%に下げる理由が書かれた一切の文書。
②分離培養において検体を接種せずFCS濃度を1~2%にした状態で細胞変性効果が起こらないことを証明する一切の文書。

この結果、下のような不開示の連絡が来ました。

そして、不開示決定通知書が届きました。

つまり、感染研は「ウイルスの分離」すなわち「ウイルス培養」のおいて、細胞変性効果の原因が「栄養分の欠乏」である可能性を否定するような検証をしていないということです。

ですから、感染研が出している「ウイルスの分離マニュアル」に従って行われた分離培養試験による「分離成功報告」は全て「栄養分の欠乏」の可能性を否定できないので、科学的に無効です。

感染研だけか?

感染研の分離方法に問題があることは分かりました。

では、感染研以外の分離培養試験は問題ないのでしょうか。

それについてはステファン・ランカ博士が行った分離培養試験の対照実験が答えています。

詳細は次の節で説明します。