令和6年10月26日公開
令和6年10月28日修正
予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会(第2回)④
健康局結核感染症課
インフルエンザワクチンの安全性について
○事務局
資料1-3を御覧ください。インフルエンザワクチンの副反応報告の状況でございます。
1ページ目の表の下の注意事項に記載されておりますが、3月11日の合同検討会では、平成24年10月より平成24年12月31日までの報告をいたしましたが、今回は平成24年10月から平成25年3月分のものをまとめたものでございます。この間の医療機関へのインフルエンザワクチンの納入数量から算出した推計接種可能人数は5,024万人で、納入されたワクチンのうち使用されず返品されたものを差し引いて算出しておりますので、3月11日の合同検討会の数値より少なくなっております。
副反応の報告ですが、表の下の合計を御覧ください。インフルエンザワクチンの副反応報告件数でございますが、医療機関からの報告は合計301件で、うち重篤は53件、そのうち死亡は4件でございます。
製造販売業者からの副反応報告は86件で、うち死亡は5件でございました。
少し飛びまして4ページ目に昨シーズンと一昨シーズンのインフルエンザワクチンの報告状況を記載しております。それと比較しますと、昨シーズンの医療機関からの副反応は556件に対しまして、今シーズンは301件、また、重篤報告は、96件に対しまして53件、死亡報告は7件に対しまして4件となっております。
また、製造販売業者からの報告は、昨シーズンは83件に対しまして、今シーズンは86件、死亡症例は1件に対しまして5件となっております。
医療機関の報告と製造販売業者からの報告を合わせますと、昨シーズンと比較して特段報告が多いという状況ではございませんでした。
資料戻りまして2ページ目でございます。医療機関からの報告のうち、関連ありとされた報告を上の表に、その下に関連なし、評価不能とされたものをまとめて示しております。
3ページ目でございますが、年齢別の件数を示しております。3月11日の合同検討会からは大きな変化はございません。
5ページから6ページは、医療機関からの重篤症例の一覧でございます。
7ページから10ページは、製造販売業者からの報告の一覧でございます。
11ページからは、副反応の種類別の報告数を示しております。
15ページからは、死亡症例の一覧でございます。
今回、症例4と6につきまして御議論いただきたいと思います。そのほかにつきましては、3月11日の合同検討会において評価いただいております。
なお、3月11日の合同検討会の死亡症例の症例5につきましては、その後、報告医から因果関係がないとの意見があり、企業からの報告が取り下げられていることから、死亡報告のリストからは削除しております。
症例4の概要について説明をさせていただきます。17ページを御覧ください。70歳代の女性で、ワクチン接種翌日に徐脈、ショック状態で発見され、治療に反応なく、同日死亡が確認された症例でございます。死因は徐脈性不整脈、ショックとされております。報告医は、血管リスクの高い患者であり、徐脈、ショックの可能性としては、ワクチン接種よりも心筋梗塞を考えたいとの御意見でございました。
専門家からの御意見ですが、A医師は、接種1日以上経過しているのでアナフィラキシーショックなどは考えられない。患者の基礎疾患が多く、ワクチンの関与は考えにくい。B医師は、ワクチンとの因果関係の評価は困難であるが、接種による直接の因果関係はなさそうである。C医師は、情報不足で判然としない。房室ブロック、脳血管障害、アナフィラキシーの可能性もある。
症例6について説明をいたします。20ページを御覧ください。40代の男性で、ワクチン接種3日後、急性心筋梗塞にて亡くなられた症例でございます。報告医は、死体検案書によると、恐らくワクチンとの因果関係は低いとのことでございます。
専門家の御意見でございますが、A医師は、ワクチン接種との関連性は評価不能、B医師は、ワクチンとの因果関係は否定的との御意見でございました。
21ページからは、ギランバレー症候群及び急性散在性脳脊髄炎についての資料でございます。ギランバレー症候群の可能性のあるしびれ、脱力感、神経障害、筋力低下、物が飲み込みにくいといった副反応名の報告について、医薬品医療機器総合機構が専門家にギランバレー又はADEMと疑われる症例であるかについて評価をしております。その結果、医療機関からの報告では、21ページから26ページまでの19症例、製造販売業者からの報告は27ページから32ページまでの17症例がございました。それぞれの症例について専門家の御意見とワクチンとの因果関係について表に記載しております。
33ページに、これらの症例報告について専門家に御評価いただいた結果をまとめております。ギランバレーの可能性があると評価されたのは、医療機関及び製造販売業者からの報告でそれぞれ1件と4件で合計5件ございました。また、ADEMの可能性があると評価された症例は、医療機関及び製造販売業者からの報告でそれぞれ4件と2件で合計6件ございました。
昨シーズンと一昨シーズンのインフルエンザワクチンのギランバレー症候群とADEMの報告数を36ページにまとめております。ここでは、ギランバレー症候群の可能性があるとされた症例は、それぞれ1例と10例、ADEMの可能性があるとされた症例は8例と7例でございました。
ギランバレーにつきましては、今シーズンの症例は昨シーズンより多く、一昨シーズンよりも少ないという状況でございます。また、ADEMの症例は、昨シーズン、一昨シーズンとほぼ同じ報告数となっております。
37ページ目からは、アナフィラキシーの可能性がある症例の一覧でございます。こちらは、企業からアナフィラキシー、アナフィラキシー反応、アナフィラキシーショック、アナフィラキシー様反応として報告された症例について、専門家によりブライトン分類の評価と専門家の御意見を掲載しております。
43ページに一覧表がございます。報告数は25例でございますが、ブライトン分類3以上の症例は7症例でございました。各社のロットごとの報告数につきましては、3月11日の合同検討会でも御説明しておりますが、アナフィラキシーが特定のロットに集中しているということはございませんでした。
45ページからは、医療機関からの非重篤症例の一覧でございます。
以上でございます。
○五十嵐座長
ありがとうございました。
それでは、ただ今の事務局の御説明に対しまして、御意見、御質問いかがでしょうか。
どうぞ。
○岡部委員
質問ですけれどもよろしいですか。資料1-3の2ページ目なのですけれども、性別報告数で「うち妊婦0」と入っているのですけれども、これは妊婦さんへの接種がどのくらいだというのは分からないのですね。現状として妊婦さんでの副反応等々の報告はなかったということで、母数はわかりますか。
○事務局
妊婦さんへの投与の母数というのは把握しておりませんので分かりません。
○岡部委員
もう一つよろしいですか。
○五十嵐座長
どうぞ。
○岡部委員
3ページ目の年齢別報告数ですけれども、これは、たしか前にも議論があったと思うのですけれども、やはりどう見ても0から9歳のくくりでやると、この中の内容を見ても何がどうなっているのかよく分からないので、できれば10歳代、20歳代というのは一つのくくりでもいいかもしれないのですけれども、小児はもうちょっと細かい分類ができないでしょうか。
○事務局
そこの集計は可能でございますので、検討したいと思います。
○五十嵐座長
岡部先生、どのくらいの細かさが必要ですか。
○岡部委員
少なくとも新生児、乳児、幼児ぐらいの区別がないと分かりにくいと思います。
○五十嵐座長
1歳までと。
○岡部委員
0歳代、1歳代、小学校ぐらいで分かれてくると思いますけれども、小児科の先生の御意見をいただければ。
○五十嵐座長
そういうような感じで、もう少し細かい年齢別カテゴリーを作っていただきたいというような御要望ですけれども、御検討いただけますでしょうか。
○安全対策課長
はい。
○五十嵐座長
ありがとうございます。
ほかにいかがですか。
岡田先生、どうぞ。
○岡田委員
同じ資料で、33ページの医療機関からの症例報告と製造販売業者からの症例報告は、基本的には重なりがないと考えてよろしいのですね。
○事務局
基本的に重なりはないと考えております。
○岡田委員
ありがとうございました。
○五十嵐座長
桃井先生、いかがですか。
○桃井委員
料へのデータの出し方ですが、絶対数で出されても母集団当たりどのくらいなの分からないと、その有害事象のサイズが評価できません。一桁だから何となく少なそうには見えますけれども、母集団当たり、これは接種当たり及び接種人数当たりどちらも必要だと思いますけれども、母集団当たりの頻度をGBS、ADEMなどは出していただきませんと正確に判断できません。他のワクチンとの比較も、どこかに出ていますか。見た限りなかったものですから。アナフィラキシーも同様です、絶対数のみではなくて、頻度というものをきちんと出しておいていただきたいと思います。
○岡部委員
それは、事務局は大変なのだろうと思うのですけれども、全体の副反応頻度も、本当は接種数の母数は、多分高齢者に多いと思うのです。ですから、そこら辺、たしかH1N1pdmのときは年齢別でどのぐらいの数の接種が行われていて、どのぐらいの副反応が出たというような、接種年齢層分のといったような形が出ていたと思うので、できたらそういうふうにやっていただければ、もうちょっと理解は進むと思うのです。
○安全対策課長
接種の母集団としての年齢ごとの接種者数は出ないものですから。報告が来た副反応を起こした方の年齢はもちろん分かるのですけれども、接種者の母集団の年齢分布は分かりません。新型のときは多分事業として年齢が把握されていたと思うのですけれども。
○岡部委員
そうすると、正確ではなくてもいいのですけれども、参考資料としてどのぐらいの年齢層で、どのぐらい受けているかというのがあると、イメージはつかめるのではないかと思うのです。ちょっといいかげん過ぎますか。
○岡田委員
これには定期と任意と併せて全部入っていますね。定期接種の場合は、年齢層は自治体から報告されているのではないでしょうか。
○事務局
定期については、数について自治体から定期的に御報告はいただいておりますが、年齢まではたしか聞いていなかったと思いますので、先ほど室長から回答申し上げたように、接種記録とか接種台帳のあれを改正してしっかりととっていくという方向で考えていきたいと思います。
○岡田委員
よろしくお願いします。
○五十嵐座長
先ほどの望月先生の御指摘と関連してくるのだと思いますけれども、より正確なデータを出すには、そのようなデータをちゃんともともとから作っていないとできないということですね。
ほかにいかがでしょうか。
それでは、今回報告されました副反応報告状況につきましては、死亡症例のほかにギランバレー症候群、ADEM、アナフィラキシー等の重篤症例の報告がありましたけれども、前回までの評価から特に変わりはありません。それから、新たな懸念は認められないということから、現時点では何らかの対応を行う状況にはなく、引き続き報告状況、報告内容に十分な注意をしてウオッチしていくという、そういう方針にしたいと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
どうぞ。
○岡部委員
1つだけ。インフルエンザのアナフィラキシーは、たしか昨年話題になっていたと思うのです。それで、そのメーカーでは安定剤を変えたのですけれども、その結果として今年はその製品も同じになってしまって、特にどこかのメーカーが多いということではないようです。ただ、私が直接やったデータではないですが、この間の学会発表や何かでも、たしかフェノキシエタノールをやめたけれども、それがアナフィラキシーの原因だというのは結局つかまっていないのだということがありますので、ちょっとコメントだけですけれども。
○五十嵐座長
ありがとうございます。
そのほかよろしいですか。
それでは、このインフルエンザワクチンにつきましては、これまでの副反応報告によって、その安全性において重大な懸念は認められないという評価をしたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○五十嵐座長
ありがとうございました。
では、日本脳炎ワクチンの安全性に移りたいと思います。資料の説明をお願いいたします。