令和5年2月20日付けで日本ウイルス学会に病原ウイルスの定義について問い合わせたところ、同年同月24日付けで次のような回答を得た。
「定義が存在しないわけではなく、ウイルスは「核酸(DNAあるいはRNA)を含む感染性粒子」と説明できます。従って、新型コロナウイルスは「ウイルス」に分類できます。」
改めて書き直すと次のような定義になる。
病原ウイルスとは、核酸(DNAあるいはRNA)を含む感染性粒子である。
しかし、この定義には矛盾が含まれている。
ここでは、この定義に矛盾が含まれていることを証明する。まず、この定義で重要なのは「感染」と「粒子」である。そこで、「感染」の定義から精査する。
Wikipediaでは「感染」を次のように説明している。
感染(かんせん、英: infection)とは、生物の体内もしくは表面に、より体積の小さい微生物等の病原体が寄生し、増殖するようになる事[1]。また、侵入等のその過程[2]。 それによっておこる疾患を感染症という。
これよりは、感染とは次のように表せる。
感染とは「病原体」がある生物に「寄生」し、「増殖」することを言う。 ・・・①
そこで、「病原体」の定義を見てみる。
同様にWikipediaでは「病原体」を次のように説明している。
これより、次のように表せる。
病原体とは、ある生物に「寄生」して病気を起こさせる「生物」である。・・・②
ここで問題になるのは、病原ウイルス「粒子」が「生物」なのか?ということである。この問題に関しては既に結論が出ていて、病原ウイルスは生物の定義を満たしていないことがよく知られている。したがって、厳密な意味で「生物」ではない。Wikipediaでは「ウイルス」を次のように説明している。
ウイルス(英語: virus〔ヴァイラス[3]〕, ラテン語: virus〔ウィールス[3]〕, 中国語: 病毒)は、他生物の細胞を利用して自己を複製させる、極微小な感染性の構造体で、タンパク質の殻とその内部に入っている核酸からなる。ウイルスは1930年代に電子顕微鏡が用いられるようになったことで観察が可能になり、その存在が知られるようになった。
生命の最小単位である細胞やその生体膜である細胞膜も持たないこと、小器官がないこと、自己増殖することがないことから、生物かどうかについて議論がある[4]。一般的には「ウイルスは生物ではない」とされるが、フランスの進化生物学者パトリック・フォルテールのように、生物に含める見解もある。ウイルスが宿主に感染した状態(ヴァイロセル、virocell)を本来の姿と捉えれば生物のようにふるまっていること、ミミウイルスのように多数の遺伝子を持った巨大なウイルスもあることなどを理由としている[5]。
この説明では、「一般的には『ウイルスは生物ではない』とされる」と書かれている。
また、次のような記載もある。
ウイルスは細胞を構成単位とせず、自己増殖はできないが、遺伝子を有するという、非生物・生物両方の特性を持っている。自然科学・生物学上、生物・生命の定義を厳密に行うことはできていないため、便宜的に細胞を構成単位とし、代謝し、自己増殖できるものを生物と呼んでおり、ウイルスは「非細胞性生物」あるいは「生物学的存在」と見なされている[23]。感染することで宿主の恒常性に影響を及ぼし、病原体としてふるまうことがある。
まず、生物について厳密な定義を行うことができないとあるが、便宜上次の3つの条件を満たしているものを生物と呼んでいる。
しかし、病原ウイルスはこれらを満たしていない。したがって、次のことが言える。
病原ウイルスは生物と呼べない。・・・③
よって、病原ウイルスは生物の定義を満たしていないので、②より次のことが言える。
病原ウイルスは病原体の定義を満たしていない。・・・④
ただ、上記、病原体の説明では「ウイルスなどの生物」と書かれてあった。このことから、ウイルスは病原体であるという主張もあり得るだろう。しかし、この記述はウイルスが生物であることを前提に書かれている。もし、前提としていないのであれば③より生物とは呼べないので、「~などの生物、及びウイルス」と書かれるべきである。したがって、病原ウイルスは生物と呼べないので、「ウイルスなどの生物」という表記は不適切であると考える。
ちなみに、上記引用で「病原体としてふるまうことがある。」という記述がある。これは、この記事の筆者は、病原ウイルスは病原体ではないと考えていることが窺える。
次に寄生について考えてみる。
Wikipediaでは次のような説明がされている。
更に次のように書かれている。
寄生は生物間相互作用の一様態であり、共生すなわち「複数種の生物が相互作用を及ぼしつつ同所的に生活する」ことに含まれる。寄生を十分に定義するのは難しい(後述)が、ひとまずは以下の定義が挙げられる。
寄生といわれるのは、生物Aと生物Bがあって、以下のような関係がある場合である。
こういった関係にある場合、AがBに寄生しているといい、BをAの宿主(しゅくしゅ、やどぬし)または寄主(きしゅ)という。
以上のことから、寄生とは生物同士の相互作用の一形態であることが分かる。つまり、寄生する側も寄生される側も、どちらも生物であるということである。
よって、③より病原ウイルスは生物と呼べないので、次のことが言える。
病原ウイルス粒子が他の生物に寄生するということは定義上あり得ない。・・・⑤
ここで、①より「感染」とは病原体が他の生物に寄生することであったから、④⑤より次のことが言える。
病原ウイルス粒子が感染するということは定義上あり得ない。・・・⑥
つまり、病原ウイルス粒子が感染性を有していることは定義上あり得ない。
以上より、次のことが言える。
病原ウイルスの定義「感染性粒子」という表現は定義上あり得ない。・・・⑦
言い換えれば、生物と呼べない粒子が、他の生物に感染するということは定義上あり得ないのである。分かりやすく例えるならば、「感染性岩石」という表現に違和感を覚えるのと同じである。
以上より、病原ウイルスの定義は矛盾を含んでいると言える。(証終)
⑦より、病原ウイルスの定義に矛盾が含まれているので、この定義を満たす粒子は存在しないことになる。
ここで注意が必要なのは、これで以て「病原ウイルスが存在しない」とはならないということである。
定義を満たす粒子が存在しないのであって、病原ウイルスが存在するかどうかはまだ分からない。だから、病原ウイルスの定義を見直せばよいことになる。つまり、病原ウイルスが存在するならば、病原ウイルス粒子を単離して、その生化学的特徴付けを行い、正しく定義すればよい。
ただ、病原ウイルスは単離できないので、生化学的特徴付けが行えず、仮説に基づいて定義したため、矛盾が含まれてしまったと言える。ウイルス学者が今しなければならないことは、病原ウイルスを単離して、その存在を確認した上で、生化学的特徴付けを行うことである。これができない間は、病原ウイルスを病原体と呼ぶべきではない。
ここでは、病原ウイルスの定義に矛盾が含まれていることを証明した。その結果、次のことが分かった。
病原ウイルスが病原体の定義を満たしていないという問題について、感染研や日本ウイルス学会などに問い合わせているが、散々問い合わせてきたので最近は無視されている。そこで地方の衛生研究所にも問い合わせてみている。質問の内容は以下の通りである。
病原ウイルスは単離できないため、未だにその存在が確認されておらず、生化学的な特徴付けができない状況にあり、病原ウイルスの特徴と呼ばれているもの全てが仮説にすぎないことはどのウイルス学者も否定できません。病原ウイルスの設定では、生物の条件である(1)細胞を基本単位とする、(2)代謝する、(3)自己増殖できる、のいずれも満たしておらず、生物とは呼べません。一方、病原体は、ある生物に寄生し病気を引き起こす生物のことであり、生物の定義を満たしていない病原ウイルスは病原体の定義を満たしていません。それは、寄生の定義からも明らかで、寄生は生物と生物の関係によって起こる現象であるから、このことからも病原ウイルスは病原体と呼べないのは明らかです。この問題は、冒頭で述べたように病原ウイルスが単離できないことに起因するもので、仮説にすぎない病原ウイルスが病原体の定義を満たしていることが確認されることなく、病原体と呼ばれていることに重大な問題があります。つまり、病原ウイルスの単離技術を確立し、その存在を確認した上で、その生化学的特徴づけがされた後、生物と呼べることが確認される、もしくは病原体の定義を満たしていることが確認されるまでは、病原ウイルスを病原体と呼ぶべきではないと考えます。
そこで質問です。
病原体の定義を満たしていない病原ウイルスがなぜ病原体と呼ばれるのでしょうか。
その根拠は何だとお考えになりますか。
この照会に対して、令和5年12月28日付けで札幌市衛生研究所が以下のような回答を送ってきた。
お問い合わせいただいた件につきまして、以下のとおり回答いたします。
結局、分からないようだ。