3-1節

酸性で偽陽性になる

PCR検査はパパイヤやコーラで陽性になることが知られています。

このことからPCR検査は遺伝子配列を見ているのではなく、pHを見ているのではないかという説があります。

その主張をされているのがアキラボーイズさんで、この動画で詳しく述べられています。

この動画の主張を簡単に説明すると、唾液検査で唾液が酸性であると陽性になり、アルカリ性であると陰性になるという主張です。

この主張に説得力があるのは、ヒトは体液が酸性になるとアシドーシスを起こし、症状があらわれます。

ですから、何かしらの症状が出ているとき、体液が酸性になっている可能性があり、その結果、PCR検査が陽性になるのではないかということです。

根拠となる論文を発見

非常にシンプルな主張なので、日本国外で同じような主張をされている方、もしかしたら実験している方がいるのではないかと思い、論文を検索しました。

すると、やはりそのような論文が存在しました。

この論文のタイトルの意味は、「唾液のpHが低いと、RT-LAMPベースの簡易SARS-CoV-2診断検査で偽陽性の結果が出ることがある。」ということです。

つまり、唾液検査で、唾液が酸性であるとPCR検査で偽陽性になる可能性があるということです。

アキラボーイズさんの主張そのものです。

pH6.8未満で偽陽性になる

この論文の注目すべき記述を紹介します。

Saliva-based tests do not require a certified swab, VTM, or a skilled worker to take samples. However, when using saliva, we found that the RT-LAMP test worked well for saliva samples with a neutral to basic pH (up to 7.0–7.4), but acidic saliva (less than pH 6.8) gave false positive results. To address this problem, we increased the pH of the inactivation buffer from 8.5 to 11. The increase in pH did not affect the RT-LAMP test results when using basic saliva, however, we noted that the ratios between the readings at 447/570 nm were consistently lower as compared to the original low pH buffer.

唾液を用いた検査では、認定スワブやVTM、熟練した作業者による検体採取は必要ありません。しかし、唾液を使用する場合、RT-LAMPテストは、中性から塩基性のpH(7.0~7.4まで)の唾液サンプルには有効ですが、酸性の唾液(pH6.8未満)では偽陽性が得られることがわかりました。この問題に対処するため、不活性化バッファーのpHを8.5から11に引き上げました。pHの増加は、塩基性唾液を使用した場合のRT-LAMPテストの結果に影響を与えませんでしたが、447/570 nmでの読み取り値の比率が、元の低pHバッファと比較して常に低くなっていることに気づきました。


上記引用の赤字に注目して下さい。

pH6.8未満では偽陽性になると言っています。

アキラボーイズさんの主張の裏付けが取れました。

アルカリ性では陰性になるか?

気になる部分は、逆にアルカリ性では陰性になるのか?という疑問です。

このことについては、上記引用の紫文字の部分に答えが書かれています。

pHを上昇させても結果に影響を与えないということは、陽性サンプルの場合は陽性になるということです。

ですから、アルカリ性であれば必ず陰性になるとは限らないということです。

このことが意味するのは、唾液がアルカリ性であれば、陽性サンプルは陽性になるし、陰性サンプルは陰性になるということです。

結論

唾液が酸性であるとPCR検査は偽陽性になる可能性が高くなります。

一方、アルカリ性であると本来のPCR検査の精度が高まります。

つまり、PCR検査が陽性になる遺伝子物質が唾液の中に含まれていると陽性になることに変わりはないということです。

ですから、唾液検査を受けなければらない状況に追い込まれた場合は、重曹でうがいをしっかりし、口腔内をアルカリ性にした上で、口腔内の遺伝子物質を除去することが重要になると思われます。