被控訴人が乙第8号証を提出してきたのは、第一審被告準備書面1、第2.2.(1)校務分掌の決定について〔10頁〕の記述内容について、具体的な規定があるのか証拠を提出するよう裁判官より請求されたからである。
ちなみに、第一審被告準備書面1、第2.2.(1)校務分掌の決定について〔10頁〕の内容は以下の通りである。
(1)校務分掌の決定について
特別支援学校の校長は、学校教育法37条第4項、82条に基づき、公務をつかさどり、所属職員に対し一般的な指揮監督権を有している。具体的には、公務分掌に関する組織を定め、所属職員に分掌を命じ、公務を処理する権限を有するものである。
校長の判断には、その高度な専門的・行政的判断に照らして相当の裁量権が認められており、それなくして時宜を得た適切妥当な処置が期待できないものである。
したがって、特に客観的な事実誤認など、その裁量権の行使に顕著な過誤が認められない限り、違法の問題を生ずる余地はない(名古屋地裁昭和62年4月15日判タ665号220頁)。
学校教育法第37条は、以下の通りである。
被控訴人は、同法第37条第4項「校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する。」を説明するための証拠を提出してきたということである。
だから、本件命課の担任業務外しと別室勤務は違法ではないと被控訴人は主張したいようである。しかし、控訴人は校長の指揮監督権を認めた上で、裁量権の範囲を逸脱していると主張しているのだから、この乙第8号証が、裁量権を逸脱していないことを主張する証拠能力がないことは明らかである。