令和6年10月26日公開
令和6年10月28日修正
予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会(第2回)②
健康局結核感染症課
ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンの安全性について
○五十嵐座長
ありがとうございました。
では、今日の議題の1-1である「ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンの安全性について」に入りたいと思います。
事務局から資料の説明をお願いいたします。
○事務局
事務局のほうから説明をさせていただきます。
ヒブワクチン及び小児用肺炎球菌ワクチンの副反応報告について説明をいたします。
まず、ヒブワクチンについてでございます。資料1-1-1を御覧ください。
製品は、サノフィパスツール株式会社のアクトヒブで、平成20年12月から販売されております。
表の中にありますが、3月11日の開催の合同検討会において、昨年12月までに報告された症例を報告させていただいておりますが、それ以降の本年1月から3月末までで約112万5,000回の接種分が医療機関に納入されており、発売以降の接種可能延べ人数は約1,172万人でございます。
製造販売業者の推計によりますと、1人当たりの平均接種回数は1.84回ということで、推計の接種者数は637万人でございます。
副反応の報告数ですが、製造販売業者からの報告は、本年1月から3月までで14件、医療機関からの報告は36件ございまして、うち重篤は8件でございました。
製造販売業者及び医療機関からの死亡症例の報告は、この期間にそれぞれ1例と2例ございました。死亡症例につきましては、後ほど小児用肺炎球菌ワクチンと併せて説明をさせていただきます。
副反応の頻度は、前回報告しました昨年9月から12月までの数値と大きな変化はございませんでした。
2ページ目を御覧ください。ワクチン接種事業を実施している市町村から都道府県を通じて報告された接種回数でございます。前回からの追加情報は、平成25年の1月と2月分で、それぞれ35万回と30万回接種分となっております。
3ページを御覧ください。市町村から報告された接種回数を基に副反応の報告数などをまとめたものでございます。表が3つございますが、一番上が報告全体についてで、個々の副反応報告数は、1ページ目の医療機関からの報告数と同じでございます。真ん中と一番下の表が、医療機関からワクチン接種との関連あり、あるいは、なしとで分けたものでございます。
5ページに移ります。本年1月から3月までの間における医療機関から報告された重篤症例の一覧でございます。副反応として、特発性血小板減少性紫斑病やアナフィラキシー反応などがございました。
6ページは、製造販売業者からの同期間における報告の一覧でございます。ここでも特発性血小板減少性紫斑病やアナフィラキシー反応が報告されております。
7ページからは、販売開始から平成25年3月31日までに報告された副反応の種類別の報告件数の一覧でございます。
10ページに移りまして、アナフィラキシーが疑われる症例でございます。3症例の報告があり、このうち、ヒブワクチンのほかに、ポリオワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンを同時に接種した2番の症例において、専門家の評価によりブライトン分類3以上で、アナフィラキシーの可能性があるとされております。それ以外の症例につきましては、ブライトン分類3以上で、アナフィラキシーの可能性がある症例ではございませんでした。
12ページは、これまでのアナフィラキシーの可能性のある症例をまとめたものでございます。専門家の評価により、ブライトン分類での評価が3以上とされた今回の症例は7例目となります。
13ページからは、医療機関からの非重篤の報告でございます。
続きまして、資料1-1-2、小児用肺炎球菌ワクチンの副反応報告状況について御説明いたします。
製品はファイザー株式会社のプレベナーで、平成22年2月から販売されております。
表中になりますが、3月11日の合同検討会において昨年12月までの報告がなされておりますが、それ以降の本年1月から3月末までの情報を入れております。約106万回の接種分が医療機関に納入されており、発売以降の接種可能延べ人数は約1,154万人分でございます。
製造販売業者によりますと、推計の接種者数は約689万人とのことでございます。
副反応の報告数ですが、製造販売業者からの報告は、本年1月から3月までで17件、医療機関からの報告は48件あり、うち重篤は11件でございました。
製造販売業者及び医療機関からの死亡症例の報告は、この期間にそれぞれ1例と2例ございました。死亡症例につきましては、ヒブワクチンとの同時接種の症例で、後ほど併せて説明をいたします。
副反応の頻度は、前回報告しました昨年9月から12月までの数値と比較して大きな変化はございませんでした。
2ページ目を御覧ください。ワクチン接種事業を実施している市町村から都道府県を通じて報告された接種回数でございます。前回からの追加情報は、平成25年1月と2月分で、それぞれ32万回と28万回接種分となっております。
3ページを御覧ください。市町村から報告された接種回数を基に副反応の報告数などをまとめたものでございます。一番上の表が報告全体についてで、真ん中と下の表が医療機関からワクチンとの因果関係があり、なしで分けたものでございます。
5ページですが、本年1月から3月までにおける医療機関からの重篤症例の報告事案でございます。ヒブワクチンとの同時接種が多いため、先ほどの副反応症例と同じものが多く並んでおります。ヒブワクチンと同時接種をしていない症例においては、けいれん、血小板減少性紫斑病、川崎病がございます。
6ページは、製造販売業者からの同期間における副反応報告の一覧でございます。ヒブワクチンと同時接種をしていない症例においては、無力症、自己免疫性溶血性貧血、肺炎、感染などがございます。
7ページからは、販売開始からの副反応の種類別の報告件数の一覧でございます。
10ページ目に移りますが、アナフィラキシーの報告でございます。アクトヒブとの同時接種の症例のみであったため、評価などにつきましては資料1-1-1と同じでございます。
11ページは、これまでのアナフィラキシーの可能性のある症例をまとめたものでございます。専門家の評価により、ブライトン分類での評価が3以上とされた今回の症例は4例目となります。
12ページからは、医療機関からの非重篤の症例の報告でございます。
続きまして、資料1-1-3、死亡報告の一覧を御覧ください。表の左にナンバーが記載されておりますが、この番号は、これまでに報告されたものから継続して付番されております。また、1ページ目の症例19につきましては、3月11日の合同検討会で評価いただいており、死因は自己免疫性溶血性貧血の劇症化が疑われる。ワクチン接種との因果関係は不明と評価いただいております。
症例20及び21につきましては、3月11日の合同検討会で報告を行っておりますが、詳細調査中のため評価いただけなかった症例でございます。
3月11日の検討会以降、症例22、23が報告されております。これらにつきましては、現在詳細について調査中のため、次回以降に御議論いただきたいと思っております。
本症例の死亡概要の一部につきましては、御遺族の希望により委員限りとさせていただいておりますので、委員におかれましても議論の御発言に当たりましては十分に御配慮をお願いいたします。
まず、症例20につきまして説明をいたします。委員限りの資料でございますが、3ページを御覧ください。6か月未満の男性で、不活化ポリオワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチン、ロタウイルスワクチンを同時接種した翌日の早朝、呼吸が停止していることに気付き、救急搬送後に死亡が確認された症例でございます。
肉眼所見には異常がなく、死亡原因は不詳とされております。
接種医の意見では、乳児突然死症候群であると考えているとのことで、搬送先の担当医の意見では、因果関係不明とされております。
専門家に御意見をいただいておりまして、A医師からは、ワクチン接種と死亡との間に前後関係を認められるが、明らかな因果関係があるとは考えられない。乳幼児突然死症候群の可能性が高い。B医師からは、経過から乳幼児突然死症候群が最も可能性が高い。しかし、ワクチンとの関連を完全に否定する根拠はない。C医師からは、乳幼児突然死症候群であった可能性が高いのではないか。接種翌日の症例であり、ワクチンとの因果関係については否定できないとの御意見でございました。
続きまして、症例21でございます。こちらも委員限りの資料となっております。
6ページ目を御覧ください。6か月以上1歳未満の女性で、小児用肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチン、百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン、不活化ポリオワクチンを同時接種した当日の夜、呼吸、意識がなく、冷たくなっているところを発見された症例でございます。救急搬送されましたが死亡が確認されたものでございます。
接種医の意見では、死因とワクチンとの関連については判断不能とのことでございました。搬送先医師の意見では、窒息の可能性もあるが、ワクチンとの関連がないとも断定できず評価不能とのことでございます。
症例21は、公表資料となっております。失礼いたしました。
専門家の御意見でございますが、A医師からは、ワクチン接種と死亡との間に前後関係を認めるが、明らかな因果関係があるとは考えられない。乳幼児突然死症候群の可能性が高い。B医師からは、経過から、嘔吐から窒息した可能性が最も疑われる。乳幼児突然死症候群も疑われるが、死因を特定するまでに至らない。ワクチンとの関連を完全に否定する根拠は見当たらない。C医師からは、印象として乳幼児突然死症候群であった可能性がある。ワクチンとの因果関係については否定できないとの意見をいただいております。
資料の1ページに戻っていただいて、各症例の調査結果になりますが、症例20につきましては、剖検結果の詳細が不明であることから、死因不明。ワクチン接種との因果関係は不明。症例21につきましては、死因は乳幼児突然死症候群とされたが、剖検は行われておらず、ワクチン接種と死亡との因果関係は不明となっております。
なお、資料の2ページ目の表欄外に記載しておりますが、平成24年8月から平成25年1月の6か月間から、平成24年10月から平成25年3月の6か月間につきまして、接種日を基にした死亡例の報告頻度を計算いたしましたが、ヒブワクチンで10万接種当たり0.25から0.26、小児用肺炎球菌ワクチンで10万接種当たり0.10から0.16であり、急ぎ検討が必要とされる10万接種当たり0.5を下回っていることを確認しております。
なお、参考2としてこれまでの報告一覧を配付しておりますが、これにつきましては大部であることから、傍聴者の方には配付しておりません。ホームページには掲載をいたします。
説明は以上でございます。
○五十嵐座長
ありがとうございました。
ただ今の事務局からの説明につきまして、御質問、御意見ございますでしょうか。
岡田先生、どうぞ。
○岡田委員
アナフィラキシーの例です。ヒブワクチンにしろ、それ以外のワクチンにしろ、同時接種をやっていることが多いと思います。それを各ワクチンの中でアナフィラキシーが疑われた例1例と記載されています。前回も指摘をさせていただきましたけれども、資料に何らかの形でこの例は、例えばこのワクチンとこのワクチンを同時接種されているというふうに区別しておかないと、後々になったときに、このワクチンで起きたという形での記録として思われそうですので、記載の方法を考えていただければありがたいと思います。
○安全対策課長
御指摘、理解いたしました。資料1-1-2でございますが、10ページのところで、症例はアクトヒブの症例と同じということで示したのですけれども、こちらの表のところにも注を付けておくようにという御指摘ですか。
○岡田委員
もし一覧表だけ見たときに誤解されないようにしていただいていたほうがいいと思います。例えばアナフィラキシーの頻度を計算するときに、どのワクチンで起きたかというのが同時接種の場合にはなかなか難しいにしろ、記載の方法を今後も区別して記載していただいたほうが、後になって分かりやすいかなというふうに思います。
○安全対策課長
分かりました。次から注意したいと思います。ありがとうございました。
○五十嵐座長
ありがとうございました。
ほかにいかがですか。よろしいですか。
そういたしますと、今回報告された副反応報告状況につきましては、アナフィラキシー等を含めてワクチンの安全性においては新しい懸念は認められないというふうに考えられると思います。
それから、今年の1月から3月の間に死亡症例は3例報告されているのですけれども、得られた情報からはワクチン接種との直接的な明確な因果関係は認められない。過去6か月、昨年10月から今年の3月までの死亡症例の報告頻度では、ヒブワクチンが10万接種当たり0.25から0.26、それから、小児用の肺炎球菌ワクチンが10万接種当たり0.10から0.16ですので、急ぎ検討が必要とされる10万接種当たり0.5をいずれも下回っております。したがいまして、一昨年の3月にまとめました安全性の評価結果についてに基づいて、現時点で何らかの新たな対応を行う状況にはなく、引き続き報告状況、報告内容に十分な注意をしていくということでよろしいでしょうか。
ということですと、御審議いただいたこの2つのワクチンにつきましては、これまでの副反応報告によって、その安全性において重大な懸念は認められないということで、そういう評価をしてよろしいかどうか御審議いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
特に反対はないようですので、こういうことでよろしいということにさせていただきます。ありがとうございました。
それでは、次の不活化ポリオワクチンの安全性について審議したいと思います。事務局から資料の御説明をお願いいたします。