令和6年10月26日公開
令和6年10月28日修正
予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会(第2回)③
健康局結核感染症課
不活化ポリオワクチンの安全性について
○事務局
不活化ポリオワクチンの副反応報告について御説明いたします。
資料は1-2-1と1-2-2でございます。昨年9月1日から不活化ポリオワクチン接種が開始されまして、また、昨年の11月からは百日せき、ジフテリア、破傷風と不活化ポリオを混合しました4種混合ワクチンの接種が開始されております。不活化ポリオワクチンにつきましても、子宮頸がん等3ワクチンと同様の方法で、薬事法に基づく企業からの報告と予防接種法に基づく副反応報告の収集を行っております。
まず、資料1-2-1を御覧ください。本年3月31日までの副反応報告をまとめたものでございます。製品は、サノフィパスツール株式会社のイモバックスポリオ皮下注で、ポリオの予防のみを効能としたものでございます。
表中になりますが、本年1月から3月末までで約71万回の接種分が出荷されており、販売以降の接種可能延べ人数は約353万人分でございます。
接種者数は、接種スケジュール等を勘案し、1人当たり1回接種していると仮定し、約353万人と推計されております。
副反応の報告数ですが、製造販売業者からの報告は、本年1月から3月末までで4件、医療機関からの報告は6件ございまして、全て重篤との報告でございました。
死亡症例の報告は、この期間に医療機関から1例ございました。死亡症例につきましては、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンと同時接種された症例で、先ほど御説明しました症例の21番でございます。
2ページ目を御覧ください。市町村から都道府県を通じて報告された接種数でございます。3月11日の合同検討会以降の追加情報は、平成25年の1月と2月で、それぞれ約32万回と21万回分となっております。
2から3ページに、市町村から報告された接種回数を基に副反応の報告数をまとめたものがございます。ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンと同様に、初めの表が報告全体について、次の表が医療機関からワクチン接種の関連あり、3ページの上の表が医療機関からワクチン接種の関連なし、評価不能として報告されたものでございます。
4ページは、本年1月から3月までの間における医療機関からの重篤症例の一覧でございます。副反応としてけいれんや特発性血小板減少性紫斑病、ADEM、アナフィラキシー反応などがございました。アナフィラキシー反応につきましては、ヒブワクチン等との同時接種でございます。
5ページ目に移ります。製造販売業者からの同じ期間における報告の一覧でございます。発作、注射部位潰瘍などが報告されております。
6ページ目は、販売開始から本年3月31日までに報告された副反応の種類別の報告件数の一覧でございます。
7ページ目は、死亡症例の一覧でございます。これは、先ほどヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンのところで説明をいたしました死亡症例と同一症例でございます。
8ページ目は、アナフィラキシーが疑われる症例でございまして、1例あり、ヒブワクチンの資料のところで説明いたしました、専門家によりブライトン分類が3以上のものとして評価されたものでございます。このため、9ページのアナフィラキシーの可能性のある症例についてまとめておりますが、ここの欄で1点修正がございます。平成25年1月から3月の期間で、「専門家の評価によりアナフィラキシーのブライトン分類評価が3以上とされた症例」の欄、現在0となっておりますが、1に修正をお願いいたします。一番下の行の0を1に修正していただきますようお願いいたします。
続きまして、資料1-2-2、混合不活化ポリオワクチンについて説明をいたします。
製品は、化学及血清療法研究所のクアトロバック皮下注シリンジと、阪大微生物病研究会のテトラビック皮下注シリンジでございます。
表中になりますが、本年1月から3月末までで約67万回分の接種分が出荷されており、販売以降の接種可能延べ人数は約111万人でございます。接種者数は、接種スケジュールを勘案して、1人当たり1回接種していると仮定し、出荷数と同数の約111万人と推計されております。
副反応の報告数ですが、製造販売業者からの報告は、本年1月から3月末までで1件、医療機関からの報告は9件あり、うち8件が重篤と報告されております。
死亡症例の報告は、この期間に医療機関から2例ございました。死亡症例につきましては、後ほど御説明をいたします。
2ページの推定接種者数につきましては、市町村からの報告を都道府県を通じて集計したものでございます。追加情報は、平成25年1月と2月分で、ともに約17万回接種となっております。
2ページから3ページに、市町村から報告された接種回数を基に副反応の報告数などをまとめたものがございます。先ほどと同様に、初めの表が報告全体、次の表が医療機関からワクチン接種との関連あり、3ページ目の上の表が医療機関からワクチン接種との関連なし、あるいは評価不能として報告されたものでございます。
4ページに移りまして、本年1月から3月までの間における医療機関からの重篤症例の一覧でございます。ほかのワクチンとの同時接種のものが多いのですが、単独接種の副反応として特発性血小板減少性紫斑病や急性腎盂腎炎の報告がございました。アナフィラキシー反応は、ヒブワクチン等との同時接種でございます。
5ページ目は、製造販売業者からの同時期における報告で、血小板減少性紫斑病が報告されております。
6ページ目は、販売開始から本年3月31日までに報告された副反応の種類別の報告件数の一覧でございます。
7ページ目は、死亡報告の一覧でありますが、同時接種された例につきましては、先ほどのヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンのところで説明しました死亡症例と同一症例でございます。
ワクチンが単独接種されました症例として、本年3月までに1例と4月以降に1例、報告がされました。2症例につきまして評価が行われております。
資料の一部につきましては、御遺族の希望により委員限りとさせていただいておりますので、御発言に際しましても御留意のほどお願いいたします。
単独接種の症例1につきまして説明をいたします。8ページ目を御覧ください。6か月以上1歳未満の男性で、混合不活化ポリオワクチンを接種した翌日の早朝、患児が冷たくなっており、救急要請をしたが、救急隊到着時心肺停止で、搬送後に死亡が確認されたものでございます。外傷など異常は認められず、死因は特定できなかったとされております。
接種医の意見では、乳幼児突然死症候群が最も考えられ、ワクチンとの因果関係はないと思われる。搬送先担当医の意見では、死因が特定できないためワクチンとの関連は否定できないとされております。
専門家の御意見でございます。A医師は、ワクチン接種と死亡との間に前後関係を認められるが、明らかな因果関係があるとは考えられない。乳幼児突然死症候群と思われる。B医師は、乳幼児突然死症候群の可能性が最も高いが、接種翌日のことであり、ワクチンとの関連を完全に否定する根拠も見当たらない。C医師は、乳幼児突然死症候群であった可能性が考えられる。接種翌日のものであり、ワクチンとの因果関係については否定できないとされております。
続きまして、症例2でございます。11ページを御覧ください。6か月以上1歳未満の男性で、混合不活化ポリオワクチンを接種した5日後の夜、呼吸がないことに気付き、救急隊が要請されましたが、搬送先病院にて死亡が確認されたものでございます。搬送先医師の意見では、死因が不明のためワクチンとの関連も評価不能とのことでございます。
専門家の意見でございますが、A医師は、ワクチン接種と死亡との間に前後関係を認めるが、明らかな因果関係があるとは思われない。乳幼児突然死症候群の可能性が高い。B医師は、経過から乳幼児突然死症候群が最も疑わしい。ワクチンとの関連を完全に否定する根拠は見当たらない。C医師は、時間的要素からワクチンとの因果関係を積極的に否定する理由はないと考えられる。印象として乳幼児突然死症候群であった可能性がある。また、吐いた跡があったことかなどから外因死であった可能性もあるとのことでございます。
資料の7ページに戻っていただいて、単独接種された例の調査の結果になりますが、症例1につきましては、剖検は実施されておらず、死因は不明であることから、ワクチン接種との因果関係は不明。症例2につきましては、剖検は行われておらず、死因は不明、ワクチン接種との因果関係は不明となっております。
13ページに移りまして、アナフィラキシーが疑われる症例でございます。平成24年10月から12月の間に1症例、平成25年1月から3月の間に1症例の報告があり、1例は、BCGとの同時接種で、専門家の評価によりブライトン分類3以上ではなく、アナフィラキシーに該当しないとの評価となっております。
もう1症例についても、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンと同時接種で、ヒブワクチンのアナフィラキシーで御説明したとおり、アナフィラキシーに該当しないとの評価となっております。
15ページは、医療機関からの非重篤の報告でございます。
説明は以上でございます。
○五十嵐座長
ありがとうございました。
ただ今の事務局からの御説明につきまして、御質問、御意見いかがでしょうか。
どうぞ。
○桃井委員
今後のためになのですけれども、突然死はこの資料だけを見ても問題の有無は分からないわけで、ましてSIDSというのも医学的根拠なく診断をするわけにはいかないわけですから、今後接種後突然死症例に対してどういう解析ができるのかということも念頭に入れておくべきなのだろうと思うのです。症例が集積されないことを願いますけれども、因果関係ないSIDSが存在することを考慮すると一定の頻度で集積される可能性は否定できないと思われます。
そうしますと、製品安全性の立場から見ると接種回数当たりの有害事象の頻度が良いのかもしれませんけれども、接種者個人の安全性の立場から見ますと接種回数に関係なく1人の個体にどのぐらいのリスクがあるかという頻度も見る必要があると思います。
そういう意味で、先ほど0.幾つ以下であるので問題ないという議論がなされましたけれども、接種回数当たりの数字では個人に対するリスク、例えばSIDSの年齢を限定したバックグラウンド頻度と比べてどうなのかという議論もできなくなります。できればデータとして接種回数当たりと接種人数あたりも出していただきたい。そうしますと、接種人数当たり、例えば接種後24時間の突然死症例がほとんどですから、24時間当たりのSIDSのリスクと統計学的に比較できるわけです。バックグラウンド頻度と科学的に比較できるようなデータを今後出していく必要があるのではないかと思います。
○五十嵐座長
いかがでしょうか。何か。
○安全対策課長
例えば、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチンですと複数回打つことになりますので、パー接種回数ではなくてパー接種人数ということで、今後、数字を御報告させていただければと思います。
また、予防接種と突然死につきましては、これまで日本では疫学調査は行われておりませんので、昨年度から、今日は御欠席でございますけれども、国立感染症研究所の多屋先生に中心となっていただいてケースコントロールスタディーをスタートしておりますので、年間100例ぐらいの乳幼児の突然死があるということですので、恐らく3年ぐらいはかかると思いますけれども、ある程度の症例が集まれば何らかのデータが出てくるのではないかと思って、私どもとしても期待をしているところでございます。
○五十嵐座長
ありがとうございました。いかがですか。それでよろしいでしょうか。
ほかにいかがですか。
どうぞ。
○大野委員
この副作用発現の症例を見てみますと、前のヒブワクチンとかそういうのも含めて、ほとんど1歳未満の方ですね。ただ、ヒブワクチンの場合、適応で見ると生後2か月から5歳未満となっていますが、実際に投与されているのはほとんど1歳未満と考えてよろしいのでしょうか。それとも、ある程度かなり広く投与されているけれども、副作用が出るのは1歳未満というふうに考えたほうがいいのか、その辺をちょっと教えていただきたいのです。
○五十嵐座長
薗部先生、いかがですか。コメントをお願いします。
○薗部委員
質問の意味が分かりませんので、済みません、副作用ととるということではなくて、あくまで有害事象としてとらえてですね。
○大野委員
そうです。有害事象です。
○薗部委員
それでどうかということだと思いますけれども、一般論から言えば、SIDSの好発年齢が1歳前が多いということで、世界中でそういうことが話題になって、2年前に同時接種後に死亡した例のときに盛んに話題になりましたけれども、それで見ましても、世界中でワクチンを打った人と打たない人でSIDSの発生頻度を見ると、打ったほうが少ないというデータが多いというふうには出されております。そういうことでよろしいですか。
○大野委員
私の意図は年齢で、1歳未満に打たないと意味のないワクチンだったら危険があっても打たなければいけないと。でも、1歳未満で打たなくてもいいのだったら、2歳とか、ヒブワクチンの場合は適応は5歳までなので、もうちょっと遅らせてやったほうがいいのではないかという質問なのですけれども。
○薗部委員
これは、2か月から打たないことには、罹患年齢を見ると生後直後からありますけれども、五、六か月から急増しますので、その前に初期接種を完了させる必要があるので、そこに打たざるを得ないと思いますけれども、違う御意見がございましたら。
○大野委員
よく分かりました。ありがとうございます。
○五十嵐座長
ほかに。
どうぞ。
○望月委員
先ほどの桃井委員の御質問に関連するのですが、私、よく分からないので教えていただきたいのですが、先ほど、パーポピュレーション当たりかパー回当たりで頻度を見なくてはいけないのではないかという御指摘だったのですが、今ここで出されているのは、販売量から人数を推計する形で出されていますね。ワクチン接種者のレジストリーみたいなものを日本では作られているとか、そういうことはあるのでしょうか。
○事務局
その辺りも長年の懸案といいますか、課題として扱われております。市町村の単位で見てまいりますと、接種台帳があって、その中で記録されて管理されているということなのですけれども、それぞれいろいろな事情で御移動されますし、そういう際にその記録が十分保持といいますか、同一性が確保されるかというと、日本ではまだそこまでない状況かと思います。
一方で、ワクチンの安全性を確認する上でそういう取組みは非常に重要ではないかという指摘も随分いただいておりまして、そういったものの実現について専門の先生方と引き続き検討していくことになろうと思っております。
○望月委員
前向きに御検討いただけたらと思います。
○五十嵐座長
ほかにいかがでしょうか。
どうぞ。
○倉根委員
質問ですが、これで言いますと1-2-2の4ページのNo.6の方の副反応名のところに「眼の脱臼」というのがあるのですけれども、これはどういうものなのでしょうか。
○事務局
この症例は、けいれんに伴いまして目が上のほうに向いてしまうというようなことを「眼の脱臼」というふうに表現をしているということでございます。
○五十嵐座長
表現は余り正しくない表現のようですね。これは、場合によっては修正できるのでしたら修正していただければ、眼球変異とかそういう意味ですよね。
○事務局
適切な表現に修正いたします。
○五十嵐座長
よろしくお願いします。
ほかはいかがですか。よろしいでしょうか。
そういたしますと、今回報告された副反応報告状況につきましては、アナフィラキシー等を含めてワクチンの安全性において新たな懸念は出てきていないというふうに判断してよろしいでしょうか。
それから、本年の1月から3月の間にイモバックスでヒブ、プレベナー、DPTとの同時接種で死亡症例が1例出ています。それから、4種混合ワクチンの接種で死亡症例が2症例報告されています。しかしながら、こうした情報からは、いずれも死亡との直接的な明確な因果関係が認められないということから、現時点では何らかの対応を行う状況にはなく、引き続き報告状況とか報告内容に十分な注意をしてウオッチしていくということにしたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○五十嵐座長
それでは、今回御審議いただいたワクチンにつきましては、これまでの副反応報告によって、その安全性において重大な懸念はないということで判断したいと考えております。
ありがとうございました。
続きまして、「インフルエンザワクチンの安全性について」に移りたいと思います。資料の説明をお願いいたします。