令和6年11月2日作成
感染症部会(第35回)③
新型コロナウイルス関連感染症について②
○山中委員
済みません。ちょっと風邪を引いていまして、こんな声なので、本当はお話ししたかったのですけれども、保健所のほうですが、基本的には症例定義に合うかどうかをまずは相談してくださいということで、きょうもこちらに来るに当たっては土日の救急医療機関とか、そういうところに患者さんが行く可能性もありますので、そういう体制はとっていただくようにお願いはしています。
あとは多分、武漢以外に関しては疑似症サーベイランスの定点病院さんのほうで、重症例だけですけれども、拾い上げられることができると現段階では思っていますので、疑似症サーベイランスの定点病院さんとも連携といいますか、情報を共有しながら丁寧に進めていきたいと考えています。
○脇田部会長
ありがとうございます。
そのほか、保健所のほうから何か御意見等ございますか。
越田委員、お願いします。
○越田委員
きょういただいた資料も含めまして、つまりリアルタイムに情報を発信していただいて、更新ごとに日本は発信していただきたいと思っております。今、一番、多分、これはころころ変わっていくと思いますし、患者さんも変わっていくと思いますし、ですから、リアルタイムの情報提供を各自治体、都道府県を通じてで結構ですので、流していただきますと、我々もそれに対する対応が迅速にできると思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
○脇田部会長
その点、よろしくお願いしたいと思います。
それでは、調先生、地衛研の体制についてちょっとお話ししていただければと思います。
○調委員
PCR検査法は2種類ありますけれども、コンベンショナルPCR法、通常のPCRです。もう一つは、先ほど脇田先生が言われましたリアルタイムPCR法で、コンベンショナルPCR法で検査をするには、検出したDNAのバンドという、専門的になりますけれども、それを塩基配列を決定しないと確定には至らないのですが、今のところ、きょう付で感染研から地方衛生研究所にコンベンショナルPCR用のプライマーが届いております。
今、マニュアルも感染研と我々、地方衛生研究所のほうでやりとりをしながら、きょうじゅうには完成するのではないかと思っていまして、陽性コントロールがやはり重要なのですけれども、それも来週の頭ぐらいには全国に配られるということを聞いていますので、それで検査は確実にできるようになると思っています。
リアルタイムPCR法の試薬も感染研では開発が済んでいるということなのですが、こちらはやはり少しお金がかかることもありまして、若干時間がかかるかもしれませんけれども、リアルタイムPCR法の試薬が届けばより迅速に、確実に検査ができるようになると考えています。
よろしくお願いします。
○脇田部会長
ありがとうございます。
現在、リアルタイムPCR法のプライマー、プローブも配付ができるように準備を進めていまして、合成に少し時間がかかるというところでもう少し時間がかかりますし、それから、試薬です。キットのReagentのほうも配付を予定しているところで、こちらは結核感染症課のほうの協力もありまして配付を進めているところになります。
山田委員、お願いします。
○山田委員
今のコンベンショナルPCRのときに、陽性コントロールなどを置いていますか。といいますのは、逆に陽性コントロールがあるとクロスコンタミで疑陽性を拾ってしまうことがあるので、非常に注意したほうがいいというのを昔のことで一言だけ。
○脇田部会長
今、陽性コントロールはコンタミを防ぐ、わかるような形のものを準備しているということで、それが準備でき次第、そちらも配付をするという形にしております。
いかがでしょうか。
味澤委員、お願いします。
○味澤委員
私はちょうどSARSのときにリアルタイムで臨床対応しました。そのときはやはり検査がそもそもできなくて、ほとんど臨床診断でしたので、非常に大変でした。
情報も結局、いろいろわかったのは、流行が終わりそうなときに、例えば、疾患の後半でウイルスが非常に多いとか、したがって、院内感染が多いのだということも流行が終わりそうなころにわかってきました。実際、こういった疾患の場合は日々変わってくるので、日々情報を出していただいて、特に臨床医としてはやはり臨床情報が必要なので、中国のほうで発表があれば、それをリアルタイムに全国の医療機関に届けるようにお願いできればと思います。
それでも、SARSのときに比べると非常に立ち上がりが早いなと思って、SARSのときはこういった会議はすぐにはなかったですから。
○脇田部会長
ありがとうございます。
厚生労働省とともに、感染研のほうからも情報をなるべく皆様のほうに提供できるようにしていきたいと考えております。
お願いします。
○菅原委員
このいただいた参考資料8の中にマスギャザリングのことが少しQ&Aのところにありました。「疑似症サーベイランスの運用ガイダンス(第三版)」のところなのですけれども、オリンピックを控えて、どれほどの人が集まる機会が通常より多くなるのか、よくわからないのですが、何か特別なアナウンスをするとか、そういったことはお考えはありますでしょうか。
○田中国際感染症対策室長
現時点では、この感染症については情報収集をしている段階で、確かにマスギャザリング時の対応は非常に重要であるということは承知をしておりますけれども、現時点でその対策を皆様にお知らせできる状況ではないと判断をしております。
今後、新たな情報が収集できて、感染の程度とか、まだ不明となっているような情報が集まってくると、こういったことも評価ができるのではないかと思っています。そのあたり、感染研の先生、それから、WHO等と連携をしながら、一番新しい情報をしっかり皆様にもお届けをしたいと思っています。
○脇田部会長
お願いします。
○日下結核感染症課長
1点補足させていただくと、そもそも、今回使っている疑似症サーベイランスなのですけれども、これがまさにことしのオリンピック・パラリンピックで活用することを目標に昨年の4月から導入をしたものでありまして、今回、ある意味、うれしくはないのですが、日の目を見ることがあったというふうに理解をしています。
ただ、今回はターゲットが新しく見つかったので、こういった新たに見つかった情報を蓄積しながら、オリンピック・パラリンピックまでにこういう影響が、日本だけではなくて、これは中国で大きな影響がありますけれども、そういうところからの影響もないような形で、どういう形で情報提供できるのか、そして、進められるのかということを考えていきたいと思っています。
○脇田部会長
ありがとうございます。
現在、武漢のほうは交通は遮断をされて、しかもいろんな行事も中止をされているところですけれども、日本では今、感染の流行が、2名の感染者が検出されている段階ですので、今後どういった感染が広がってくるかというところでマスギャザリングに対する対策も検討が必要ではないかと考えております。
釜萢先生、お願いします。
○釜萢委員
先ほど大曲先生からきょうは4例の診療というお話がありましたが、検体採取に至るような症例についての医療機関への受診、すなわち事前に確認をして、そういうふうに受診するような体制がどうであったかということについて、何か御示唆がありましたらば教えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○田中国際感染症対策室長
机上配付をさせていただいておりますプレスリリースの一番最後のページに四角で囲っておりますが「国民の皆様へのメッセージ」という記載がございます。この2つ目の○ですけれども「武漢市から帰国・入国される方におかれましては、咳や発熱等の症状がある場合には、マスクを着用するなどし、事前に医療機関へ連絡したうえで、受診していただきますよう、御協力をお願いします」という形で国民の皆様にメッセージを発しているところでございます。事前に医療機関へ連絡ということは、こういったことを通じてお知らせをしているところでございます。
○釜萢委員
国からこのようなアナウンスが出ていることは承知をしておりますし、マスコミの皆さんにはぜひ、これをまた広めていただきたいと思うのですが、今日までの感染例の発見に至るまでの間の受診動向について、何か問題点などがなかったかどうか、診療に携わられた御専門の先生からも何か情報をいただけるかどうかというところを伺ったのです。いかがでしょう。
○脇田部会長
お願いします。
○日下結核感染症課長
2点ありまして、一つは釜萢先生からの御質問への直接のお答えですけれども、これまで確定例となった方は保健所に事前に相談がありまして、受診をする際にマスクをつけていってくださいということでマスクをつけていかれているというふうにお聞きをしております。
もう一つ、ここで申し上げたいのが、今、確定例の方はほとんど中国から来られた方ということで、今、健康カードというものを中国全土の航空便に配付することになっておりまして、その中で、もし何らかの症状があったら、こういうところに連絡をしてくれということで保健所を誘導するような形になっておりまして、さらに受診をする際はマスクをつけてくれという情報を日本語、英語、中国語で配付をすることになっております
○脇田部会長
どうぞ。
○釜萢委員
わかりました。
そのあたりのところはさらにしっかり徹底をしなければいけないということと、それから、解熱剤を服用していて、入国の段階でのサーモグラフィーにひっかからなかったということがたくさんマスコミに出てくると、そのことに関する不安も直接、私どものところに一般の方からもかなりの数の電話がかかってくる状況で、それはしっかり、今のところ対応しているところですけれども、情報の共有が非常に大事でありまして、受診時の注意についてはさらにマスコミの方にもお願いをして、しっかりと広報していただきたいなと思ったので、発言をいたしました。
以上です。
○脇田部会長
ありがとうございます。
さらに御意見は。
今村先生、お願いします。
○今村委員
感染症はよくバッシングをすると水面下にかえって潜ってしまうという傾向があるのですけれども、特に今回、中国からということになって、もう既に報道とかSNSとか、そういうところではもう入ってくるなみたいな感じの意見とかも出ているような状況になっています。中国の方がこちらに来られて、感染する人も感染したくて感染したわけではないので、その人たちにどのように情報を提供して、医療機関にリスクがなくかかれるように準備をするかということも同時に考えておいたほうがいいかなと思います。
○脇田部会長
お願いします。
○日下結核感染症課長
どうもありがとうございます。
厚生労働省といたしましては、どういう形で日本に来られる方に情報を提供するのかということが非常に大きな問題かなと捉えております。
一つは、もちろん、検疫で全部とめられればいいのですけれども、今、いろんな入ってくる情報ですと、熱がそもそも低い方、あるいは熱を発しない方も感染している方もいらっしゃるのではないかという情報もありまして、これは全く明らかでないのではっきりとは申し上げられませんけれども、そういう状況になると、はっきり言いますと、今、サーモグラフィーで症状があってという形でとめることはなかなか難しいのだろうと思っています。
ただ、実際に検査をして陽性になる方は何らかの肺炎を発症してこられるということで、そうなった場合にどのようにお伝えするかということで、もちろん、医療機関とか健康カードというものはやっているのですけれども、ホテル業界に、もしそういう方がいらっしゃったら、こういう受診をちゃんと、マスクをしてきてくださいとか、そういった情報をホテル業界にも今、幅広く情報提供をさせていただいておりますので、なるべく多くのメディアに触れるような形で、そういう日本に来られる外国人の方が安心して来られるような形で情報提供・発信を進めていきたいと思っています。
○脇田部会長
ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。
山田委員、お願いします。
○山田委員
今の件なのですけれども、例えば肉製品などを家族とか親戚に持ってくる。そういう格好で豚コレラなどが侵入してくるということが起こり得ますね。ということは、ホテルに泊まる人だけではなくて、日本国内にRelativeがいて、そういうところへ訪れてくる。それで、やはり日本のルールなどを全く知らないで入ってくるような人たちはかなりいるのではないかと思うのです。そういう方たちへのアプローチは大使館を通すなりなんなりというやり方をしないとアクセスできないのではないかとふと思ったのですけれども、いかがでしょうか。
○日下結核感染症課長
ありがとうございます。
どういうものが日本に持ち込めるか持ち込めないかというのは恐らく空港のところで聞かれると思うのですけれども、隠して持ってこられた場合であっても検疫がありまして、隠されるとわからないところはあると思いますが、通常は検疫でひっかかって、これは持ち込めませんといって没収されることになりますので、事前にお知らせすることがまず一番大事だと思いますけれども、ただ、よくわからないで持ち込まれた場合でも、システム上は、通常は中に入れないようになっているということでございます。
○山田委員
済みません。そういう持ち込むのではなくて、要するにそういう事例を鑑みると、日本国内に親戚とかがいて、ホテルなどを利用しないで、そういうところを訪れる患者さんとかかかっている人。そういう方たちへのアプローチです。そこを、かなりの人数がいるのではないかと思うので、その辺も徹底する必要があるのではないかと思った次第です。
○日下結核感染症課長
ありがとうございます。
現在、飛行機に乗られている方について健康カードを配るということをしているのですけれども、おっしゃるように、いろんな媒体を使って、なるべく多くの方の目に触れるような形でこういった普及啓発はやっていきたいと思います。
ありがとうございました。
○脇田部会長
ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。
そろそろ、大分意見もいただきましたので、きょうのところのまとめをしたいと思います。
きょうは何より、皆様からいただきました御意見に関しては、情報提供、情報共有、情報発信が重要であろうということであったかと思います。特に医療機関、自治体、保健所、地衛研、感染研というところですけれども、ここには、感染研はどちらかというと情報を出すほうかもしれませんが、疫学情報であったり、臨床の情報であったり、そういったさまざまな情報を提供していく、共有していくことはこれからも続けていかなければいけない。
毎日、日々刻々と状況は変わるようなところがございますので、そういったところもリアルタイムで情報提供をしていくところであるかと思いますので、よろしくお願いします。
それから、特に国民の皆様、外国からいらっしゃる旅行者の方々、そして、山田委員から御指摘がありましたけれども、例えば在日、日本におられる、定住されているような外国人の方々。そういった方々にも広く情報を提供するような仕組みをつくって、現在こういう状況ですので、これに気をつけてくださいということは必ずお伝えできるようなシステムができればいいなと。そういったところで情報提供していくことが重要であろうと考えているところです。
きょうは何か結論を出すような部会ではないのですけれども、皆様から御意見をいただきましたので、これを参考にして、さらに結核感染症課が中心となりまして、この新型コロナウイルス関連感染症に対して対策を進めていくということかと考えております。
さらに何かございますでしょうか。よろしいですか。
(首肯する委員あり)
○脇田部会長
ありがとうございます。
それでは、本日の議題の審議はこれで終了とさせていただきます。
事務局から何か連絡事項はございますか。
○田中国際感染症対策室長
次回の日程に関しましては、追って御相談をさせていただきます。
本日はお忙しい中、お集まりをいただきまして、まことにありがとうございました。
事務局からは以上になります。
○脇田部会長
ありがとうございました。これで終了したいと思います。