令和6年10月29日作成
令和6年11月 2日更新
感染症部会(第35回)
新型コロナウイルス関連感染症について①
○田中国際感染症対策室長
それでは、資料について御説明をさせていただきます。
まず、資料1でございますけれども「コロナウイルス感染症について」。
中国湖北省武漢市において、昨年12月以降、病原体不明の肺炎患者が発生し、後にそれが新型のコロナウイルスによるものと判明いたしました。コロナウイルスとは、一本鎖RNAで構成されたウイルスでございます。コロナウイルスには、いわゆる風邪の原因となる4種と、重症肺炎を引き起こす2種、SARS、MERSが知られております。
下に感染経路、臨床症状、治療・予防等をまとめさせていただいております。先ほど申し上げた風邪のウイルスによるものが上の4つ、SARS、MERSなどが下の2つとなっております。潜伏期間は、風邪のウイルスは2~4日の、主に鼻炎、上気道炎、下痢等を引き起こします。通常は重症化いたしません。治療は、特定の治療法がなく、対症療法の治療となっております。
SARS、MERSについては、感染経路がSARSについては、咳、飛沫、接触による感染以外に、便にも注意が必要ということが言われております。潜伏期間は2~10日がSARS、2~14日がMERS、上記症状に加えて、SARSでは高熱、肺炎。MERSでは高熱、肺炎、腎炎を起こし得る。治療については、先ほど申し上げた内容と変わりはございません。
1枚おめくりいただきまして「新型コロナウイルス関連感染症の発生状況等について」を御報告をさせていただきます。令和2年1月24日12時時点の数値でございます。こちらの数値は、厚生労働省のほうで政府等の公式な情報をもとにまとめたものになっております。
まず、中国でございますけれども、患者数が830名、死者が25名。タイは4名、死者が0名。韓国は2名、死者が0名。台湾は1名、死者が0名。ベトナムは2名、死者が0名。米国は1名、死者が0名。シンガポールは1名、死者が0名。日本で2名、死者が0名ということになっております。
新型コロナウイルスに関連した感染症による死亡例は、中国での25例です。内訳がございまして、うち60歳以上が15例、60歳未満が2例、既往歴ありが11例という情報が公表されております。
日本での感染者1例目の方については、1月15日に症状が軽快し退院をされております。上記のほか、本日未明、我が国で2例目が確認されたところでございます。なお、感染者の濃厚接触者という、これは1例目の方の情報になっておりまして、感染者の濃厚接触者18名は健康観察中となっております。
2例目の濃厚接触者の調査は現在行われているところでございまして、2名の濃厚接触者が確定できておりまして、健康観察を開始しております。
1枚おめくりいただきまして、次が資料2になっております。これらの肺炎の対策といたしまして、こちらの紙をまとめさせていただきました。
1月21日、関係閣僚会議で決定をした内容としては、水際対策として、感染のリスクが高い地域からの入国者・帰国者に対する検疫所におけるサーモグラフィー等による健康状態の確認を初めとする水際対策を徹底する。
国内のサーベイランスでは、医療機関において感染が疑われる者が確認された場合には、適切に国立感染症研究所での検査する仕組みを着実に運用するとともに、感染者の濃厚接触者の把握を徹底する。
情報提供として、国際的な連携を密にし、発生国における罹患の状況や感染性・病原性等について、世界保健機関や諸外国の対応状況等に関する情報収集に最大限の努力を払う。国民に対して、引き続き迅速かつ的確な情報提供を行い、安心・安全の確保に努める。なお、情報提供を行う際には、感染者の個人情報の取り扱いには十分に留意するということを関係閣僚会議で決定しております。
また、1月23日には、これに加えまして、新たな検疫等の対策強化パッケージということで、水際対策については、中国からの全ての航空便において、健康カードの配付、機内アナウンスの実施を拡大するよう、航空会社には要請。既に現時点で要請は終わっておりまして、実施に向けた準備をしているところでございます。
医療体制でございますが、武漢市以外に流行が拡大した場合には、その流行地域からの訪日客及び帰国者が入国後に発熱等の症状を認めた際にも、医療機関において行動歴等の詳細な聞き取りを行い、保健所と連携して疑似症サーベイランスを確実に実施する。
国内サーベイランスでございますが、今、国立感染症研究所で実施している検査について、全国の地方衛生研究所でも検査が可能となるように体制を整備する。特に留意すべき濃厚接触者について、患者対応に係る注意喚起の通知を発出する予定でございます。
情報提供ですが、宿泊施設に対して、訪日外国人旅行者に発熱とせき等の症状があった場合の対応の周知を図る。新型コロナウイルス関連肺炎に関するQ&Aを発出し、広く国民に情報提供を行う。現在、Q&Aは作成の準備を進めているところでございます。
1枚おめくりいただきまして、資料3「新型コロナウイルスに関連した感染症に関するWHOによる助言の概要」。これは速報とさせていただいておりますが、先ほど机上に配付しております仮訳も適宜御参照いただきながら御確認をお願いいたします。
経緯としては、2020年1月22~23日に開催された緊急委員会では、新型コロナウイルスに関連した感染症の発生については「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」は、時期尚早との意見が複数の委員から出された。委員からのさまざまな意見を踏まえ、緊急委員会は助言を発表した。
重要な要素として、ヒト-ヒト感染の発生は確認されたこと、1つの医療機関で感染拡大があったこと、患者のうち25%が重症であったこと、感染源は不明であること、ヒト-ヒト感染の程度についてはいまだ不明であること。
助言の内容としては、日本を含む全ての加盟国に対する助言は以下のとおりでございます。封じ込めのために、積極的なサーベイランス、早期発見、患者の個室管理、適切な管理、接触者の健康観察等を含む対策を実施し、WHOにデータを共有すること。ヒトへの感染を減らすこと、二次感染及び国際的拡大を防ぐために、関係機関と連携すること等に重点を置くこと。WHOの渡航勧告に従うこと。この渡航勧告は、手洗いの徹底やマスクの着用など一般的な感染症対策を行うこと、海外渡航の制限はしないこととされております。
以上が、本日準備をさせていただきました資料1から資料3になっております。
○脇田部会長
ありがとうございます。
ただいま、資料1から資料3まで御説明をいただきました。後ろのほうに、さらに参考資料として、参考資料4が「新型コロナウイルス感染症に対する対応と院内感染対策」です。それから、その後は参考資料5で「新型コロナウイルス(Novel Coronavirus:nCoV)による感染症患者の退院及び退院後の経過観察に関する方針(案)」というものがありまして、その後ろに「2019-nCoV(新型コロナウイルス)感染を疑う患者の検体採取・輸送マニュアル」。さらに「新型コロナウイルス(Novel Coronavirus:nCoV)感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領(暫定版)」。さらに、その後に「疑似症サーベイランスの運用ガイダンス(第三版)」という形でついておりますので、御参考にしていただきたいと思っております。
それでは、ただいまの御説明ありました、現状をまとめていただきましたけれども、委員の皆様から御質問、御意見をいただいて、今後の対策等に生かしていければということだと思いますが、いかがでしょうか。
現状、PHEICが出されたわけではありませんという状況での対策は、先ほどお示しいただきましたように、資料2にまとめていただいているように、水際対策、国内サーベイランス、情報提供、医療体制ということで、今後はさらに中国で毎日のように患者数が、感染者の数がふえてきていますので、日本においてもふえる可能性を考えて、検査だけではなくて、医療体制をしっかり準備をしていくということが今後、重点になってくるかなとは考えております。
まず、山田先生、お願いします。
○山田委員
済みません。事実関係をちょっと知りたいのですけれども、この中国での発生の中で830名の患者のうち医療関係者の数がどの程度あるかということと、それから、重症者が25%ぐらいと言われていますが、その25%について、例えば高齢であるとか、そういう年齢についてはわかっているのでしょうか。
○脇田部会長
事務局のほうでお願いします。
○田中国際感染症対策室長
医療関係者の数については、公式なホームページ等では公表されておりません。また、重症例についての情報ですけれども、特段、年齢等について私どものほうで把握しているものはございません。
○脇田部会長
ありがとうございます。
中野委員、お願いします。
○中野委員
こういった新しい感染症が出てくると、診療の現場ではいろんな方々からいろんな問い合わせが来て、私たちも当然、院内でもいろんなところで感染の機会を少なくとも減らすようにしないといけないと思うのですが、この短い期間にいろんな資料を集めてくださって大変助けになりましたので助かっているのですけれども、1点お教えください。資料1の2ページです。健康観察終了者23人ということなのですが、これはこの疾患の潜伏期間も関係してくるかもしれませんが、何日間の健康観察をすれば大丈夫なのかというのは、現時点ではまだ断定的なことは言えないかもしれないですけれども、目安として、今、どのように考えておられるか、お教えいただいてよろしいでしょうか。
○脇田部会長
よろしくお願いします。
○田中国際感染症対策室長
目安は現在、2週間の健康観察をお願いしているところでございます。資料1の1枚目にはコロナウイルスの潜伏期間が書いてございまして、この中で一番長いものがMERSの14日間ということが記載がございますが、これを参考に14日間ということで設定をしております。
○脇田部会長
中野委員、お願いします。
○中野委員
ということは、本疾患の少数例のヒト-ヒト感染が疑われた例から算出したというよりは、コロナウイルス一般の例として現在は2週間で運用していただいているという理解でよろしいですね。
○田中国際感染症対策室長
さようでございます。
○中野委員
では、それに関して、もう一点お教えください。SARSが起こったときに、普通、ウイルス性疾患というものは割と病初期に感染力が強い病原体が多いですが、SARSのとき、割と病気の後半でウイルス排せつ量が多いとか他人にうつっている例が多いという一部の報告があったと思うのですが、今回のこの2019新型コロナウイルスに関しては、個々の例を当たっていくしかないと思うのですが、現状ではそのような懸念はないのでしょうか。
○田中国際感染症対策室長
机上に配付しております、こちらの仮訳の中に、WHOのほうのステートメントとして、ヒト-ヒト感染の程度はまだ明らかでないというふうに今回のEmergency Committeeの判断が出ております。先生のおっしゃるとおり、今はまだ知見を集めているところというのがWHOも含めて我々の認識でございます。
○中野委員
ありがとうございます。
○脇田部会長
現在、中国から散発的に研究論文も発行されてきているところで、そういった症例に関する情報も少しずつ出てきているところですけれども、まだまだその情報が十分にあるわけではないので、潜伏期間、ウイルスのSheddingの期間がどうであるとか、それから、先生がおっしゃるように、前半と後半でウイルスの排出量が変わってくるのか。そういったところもまだ情報が余りないところであると思います。
鈴木参考人のほうから、今のところでは何か追加の情報はありますか。
○鈴木参考人
いえ、これまで議論がありましたように、現実的に今、症例を800人という単位でデータが集まっているのは中国しかないわけですので、中国から出てくる情報を待つしかない。その中で我々としては先行の知識として一般的なコロナウイルス、あるいはSARS、MERSといったものでわかっている事実を、まずはそれを用いて潜伏期間などもそれを考慮して設定しているところです。ただ、これはあくまで仮のものですので、今後エビデンスが蓄積されてくる中で少しずつまた改善されてくる部分はあると思います。
○脇田部会長
ありがとうございました。
調先生、お願いします。
○調委員
少し細かいことになってしまうのですけれども、この参考資料6の検体に関してですが、たしかCDCの資料ですと、できれば尿と便をとるというふうに書いてあるかと思うのですが、これは感染防御対策にも関連することですので、ここには便が入っていないのですけれども、コロナウイルスは結構、便に出ることが多いということも伺っていますので、ここで便が省かれている理由は何かあるのでしょうか。それで、尿とか便について感染対策は必要なのかということも教えていただければと思います。
○脇田部会長
それでは、私からお答えしたいと思います。
現状で便のほうに、この新型コロナウイルスの場合は、SARS等のように排出をされるという情報はありません。一方で、便検体をとっておくことも将来的な検査に関しては非常に有用だとは思うのですけれども、現状ではそこは入れていないということになっています。
それで、今、このマニュアルに載せています検体は6種類となっていて、必ず必要なのは上気道由来検体、そして、できる限りというものが下気道由来検体、それから、血清という形になっています。今、散発的に出てきている論文の情報等を見ますと、上気道由来検体、いわゆる咽頭拭い液よりも喀痰あるいは下気道のサンプルのほうがより出やすいのではないかという情報がありますので、ここについては感染研のほうで今後リバイスをして、下気道由来検体のほうも必ずとってほしいというところに変えていこうということを検討しております。
○調委員
そうしますと、やはり呼吸器の検体が主になっていて、下気道の検体が重要であるということは、下気道に感染が起こっているためにヒト-ヒト感染も、上気道にそれほどないとすれば起こりにくい。現状としてはそういうことでよろしいのでしょうか。
○脇田部会長
必ずしも断定はできないのですけれども、やはり肺炎を起こしているという状況も考えて、肺での増殖がよく起こっているウイルス感染症ではないかというふうに想像はしている状況です。
山田先生、お願いします。
○山田委員
あと、確定診断は今、どうやって行われているかを知りたいのです。
○脇田部会長
ただいまのサンプルは、検査の依頼があった場合には感染研に検体が搬送されています。その検体を、特異的なPCRを行って、現状、きのうまではPCRが終わった後にバンドを切り出してシーケンスを決めるということで確定診断としておりました。それで、きょうからリアルタイムPCRの系が動き出しましたので、リアルタイムPCRで確定診断とするということにしています。
○山田委員
いいですか。
中国側からもシーケンスの発表があって、それに基づいて行っている。それで、バリエーションとか、そういうものは全然報告されていないのでしょうか。
○脇田部会長
現状では変異が非常に起こっているという報告はないと承知しています。なので、検出系、検査系で検出できないようなウイルスが既に出てきているという情報は入っていないところになります。
釜萢先生、お願いします。
○釜萢委員
用語のことでちょっと確認ですが、新型コロナウイルス関連肺炎という表現と、それから、新型コロナウイルス関連感染症という表現がありますが、当然、肺炎を起こしていないで、先ほどお話のような確定診断が陽性になれば感染症となるわけですが、そのあたりの使い方について、何かさらに事務局のほうから示唆があれば伺いたいということが一点。
それから、先ほどの資料の中で資料1の2ページですが、これは中国のほうからの情報で、既往歴あり11例、他の6例は既往の有無不明ということの、この既往歴についてもう少し詳しく教えていただきたいと思います。
○脇田部会長
事務局、お願いできますか。
○田中国際感染症対策室長
まず、名称でございますが、新型コロナウイルス関連感染症という形で先ほど申し上げた関係閣僚会議等では呼んでおります。やはりわからないことが多いということで、肺炎だけに限定しない、この感染症という呼び方で統一できればと。ちょっと記載がばらばらとしているところがあったかもしれないですが、その点はこちらの感染症ということで統一をさせていただきたいと思います。
もう一つは重症例についてでございますが。
○釜萢委員
それは、重症例の既往歴というのは何か基礎疾患があるという意味ですか。
○田中国際感染症対策室長
そうです。こちらに書いてございます数のものが公表されているものになっておりまして。
○釜萢委員
これはまだ17例のところのデータということですね。
○田中国際感染症対策室長
そうです。17例のときのものです。これがふえたところについては確認ができていないということでございます。
○釜萢委員
わかりました。
○脇田部会長
よろしいでしょうか。
○釜萢委員
はい。
○脇田部会長
ありがとうございます。
続きまして、御意見、御質問等ございましたら、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
では、中野委員、お願いします。
○中野委員
サーベイランスは、疑似症サーベイランスを運用ということで理解しております。そうなりますと、診療体制なのですけれども、現在、感染症法の中で、まだ類型分類はされていないということであれば、明らかに肺炎がある方とか、明らかに武漢の2週間の滞在とか、そういう例もあれば、そうでない例もいろいろあると思うのですが、呼吸器感染症というものは小児も大人もとても多い病気ですから、現状では私は個々の医療機関でできる限りの対応をするということで理解しておりますが、それでよろしいかということ。
あと、確定診断後も、もし感染研で確定診断をいただいた場合、それでいいのかということ。
院内感染対策については、WHOのウエブサイトとかも参照すると飛沫感染対策と、それも理解しておりますが、それでいいかという点をお教えください。
○脇田部会長
お願いします。
○田中国際感染症対策室長
まずは医療機関での対応ということでございますが、今、後ろに参考資料がついておりますけれども、疑似症サーベイランスの運用ガイダンス、参考資料8をごらんいただければと。
済みません。現在、疑似症サーベイランスの対象となるのは、発熱が37.5度以上、かつ呼吸器症状を有している。
それから、これは参考資料4のほうに書いてあります。参考資料4をごらんいただきまして、疑い例の定義というものが3.に書いてございますが、37.5度以上、かつ呼吸器症状を有している。それから、発症から2週間以内に、以下の(ア)(イ)の暴露歴のいずれかがある。(ア)武漢市への渡航歴がある。(イ)「武漢市への渡航歴があり、発熱かつ呼吸器症状を有する人」との接触歴があるという形になっております。これを満たす方を疑い例として疑似症サーベイランスに載せていただいております。
それ以外に、ちょっと1枚おめくりいただいて、図がございますが、今、申し上げた要件に加えて、インフルエンザ等の一般的な呼吸器感染症の診断を行いつつ疑似症サーベイランスの運用について保健所へ相談をいただく。中等症から重症の場合には検査をしていただくことになっていますが、そちらは判断が難しい場合には感染研にも御相談をいただくことは可能でございます。そういった御相談の後に検査を行うかどうかを決めていただく。
当然、通常の治療については通常の医療で行っていただく。先ほども申し上げましたように、なかなか対症療法しかないウイルスというふうには承知をしておりますが、それは通常の医療の対応というふうに考えております。
あとは感染対策ですけれども、これも先ほどの院内感染対策の参考資料4の4.に書いてありますが、こちらに書いてある標準予防策に加え、接触、飛沫予防策を行うということ。それから、診察室及び入院病床は個室が望ましい。診察室及び入院病床は十分換気する。患者の気道吸引、気管内挿管の処置などエアロゾル発生手技を実施する際には空気感染の可能性を考慮し、N95マスク、目の防護具、長袖ガウン、手袋を装着する。患者の移動は医学的に必要な目的に限定するというふうに記載をしております。
以上、事務局のほうからの御説明でした。
○脇田部会長
どうぞ。
○中野委員
1点だけ確認です。
よく理解できました。エアロゾル発生の懸念があるときだけ、空気感染対策の併用ということも理解いたしました。
もう一点、陰圧室は必須ではないという理解でよろしいですね。
○田中国際感染症対策室長
さようでございます。
○中野委員
ありがとうございます。
○脇田部会長
1点補足しますと、ここの症例定義で、新型コロナウイルス関連感染症の疑いの例の定義が当てはまれば、これは感染研のほうでコロナウイルスの検査をまず行うということにしております。それ以外の、例えば武漢への渡航歴がないとか、それから、そういった武漢から渡航歴がある人と接触で、症状がある人と接触歴がないとか、そういったいわゆる疑似症サーベイランスのほうに当てはまる、いわゆるもとの疑似症サーベイランス。そういった方は、御相談によって不明感染症の扱いで検査を感染研で行うという形に今、しているところです。
調先生、お願いします。
○調委員
資料2の医療体制のところで「武漢市以外に流行が拡大した場合には」と記載してあるのですけれども、現状でも、これは中国がどうもリアルタイムに感染者の数を公表するサイトをつくっているようで、中国全土で確定例が849例で、そのうち河北省が549例、広東省が53例、浙江省が43例、重慶が27例となっていまして、そうすると現在、その次の文章の「その流行地域から」というものがあるのですが、その流行地域という定義をどうするのか。現時点で確かに海外で感染が確認された人はほぼ全て武漢からの渡航者なのですけれども、これから必ずしも武漢からの渡航者に限定されるわけでもないと考えていいと思うのです。
そうしますと、やはり医療機関ですとか、あるいは保健所が、地方自治体が対策をとるに当たって、どういうふうに対応していけばいいのかという、中国全土を全部、網にかける必要があるのか。そういうところも少し考えていかなければならないと思います。
○脇田部会長
調先生の御意見では、武漢市に限定せずに、中国全体を考えたほうがいいという御意見でしょうか。
○調委員
その辺は非常に難しい判断だと思うのですけれども、今の時点では海外での発生は恐らくほとんど武漢から来られた方に限定されていると思いますが、今の流行状況で、潜伏期間は2週間後だとしますと、2週間後にどうなっているかはわからないのではないかということもやはり念頭に入れておく必要があって、どの時点で武漢以外に対象を広げるのかということも少し考えていただく必要があるのではないかと思います。
○脇田部会長
ありがとうございます。
○日下結核感染症課長
ありがとうございます。
やはり各自治体間でばらつきがあってもだめですので、どこが流行地域なのかというのは専門家を交えさせていただいて、最終的には国のほうから現在、この地域で流行が疑われるものとして扱わさせていただくということは、十分検討した上で公表するような形で進めさせていただきたいと思います。
○脇田部会長
ありがとうございます。現状では、武漢というところに限定をしている状況を続けるということだと思います。
そのほか、いかがでしょうか。
大曲先生、現在の医療体制といいますか、今、患者さんがそれほど、今は2名で、1名が退院されている状況ですけれども、今後は患者さんが多くなってきたときの体制はどういうふうに考えていけばよろしいでしょうか。
○大曲委員
これは大変難しいところだと思います。数等である程度推計できるところから申し上げていきますと、当科の外来は本日、疑い例の定義を満たす方が4人受診しています。ただ、皆さん疑似症サーベイランスの定義は満たしませんでした。もちろん、その後の健康に関してはよくよく留意していただくよう説明をしてお帰ししている状況です。
当院がもともと外国籍の方が診療する数が多いということもあるかと思いますが、春節の重なりもあると思うのですけれども、かなりの多くの方が受診されています。日本全国で疑い例の定義を満たす方はかなりの数、入ってきていらっしゃるのであろうと推測しています。ただ、実数は把握してはおりません。
現状のように、疑い例の定義を満たすだけの軽症の患者さんは疑似症サーベイランスには載せないということであれば、診療は何とかなります。ただ今後、疑い例の定義を変えて対象となる中国の地域を広げていくなどしていくと、疑い例が増え、疑似症サーベイランスに載る方が増えていき、その結果入院が必要になる方が増えてくると、医療機関にはかなりの負荷がかかるだろうと思っています。
そういうところが現状です。現状は幸い一般の医療機関でも疑い例を平等で診療していただけるということで、医療体制自体はもっていると思っています。
むしろ、感染症法で何らかの感染症に指定をするとなると、医療体制が大分変わってきます。そこはよく議論が必要すべきです。端的には、特定の指定医療機関への負荷が非常に大きくなります。これは呼吸器感染症であるということを考えると、全県的にとまでは言いませんが、特定の地域の特定の感染症指定医療機関があっという間に診療のキャパシティーを超えるということは十分に考えられます。そういったことは想定をしながら、そして当院でもそういうことがあり得るかもしれないと思いながら診療をしているところです。
まとまりのない話で済みません。
○脇田部会長
ありがとうございます。
同じく今村先生にもちょっと伺っておきたいのですけれども、やはり今、大曲先生から伺ったのと同じような状況ということでしょうか。
○今村委員
そうです。全般的には同じ考え方ですけれども、1つの医療機関の中では重症例がどれぐらい入ってくるかによって限られたマンパワーの中の負担が大きく変わってきますので、今の重症例の数が医療機関である程度分かれている状況であればいいですけれども、必ずしもそうはならないところがあります。
そういう意味では、指定感染症という話が先ほどありましたが、利点はあるのですよ。例えば入院の隔離をしにいくときに、海外の人が多いわけですから、そこは法律があるところで説明しやすいとか、あるいは行政との連携をして、いろいろ検体を運んだりとかのいろんなやりとりはもともと法律に載っているほうがスムーズに行えるように習慣がもうついていますので、そういうことは行いやすいとか、一方で利点はあるのです。
でも、先ほど言った医療機関が集中してしまう。なおかつ重症例が集中してしまうという形になると、例えば医療センターとかはかなり大変になることが想像できるので、その辺も配慮しつつということではあるかなと思います。
○脇田部会長
ありがとうございます。
今後、症例がふえていきますと、やはり現在の中国の情報であれば2割程度は重症例が出てくるということになりますので、そういった対応は当然、重症例への対応は必要になってくるということかと思います。
さらに御意見、いかがでしょうか。
保健所のほうの対応として何か、今、ありますでしょうか。山中先生、お願いします。