ジキが仮想ウイルスというアイディアが浮かんできたのは、このベロ細胞について感染研の記事を読んでいるときでした。
ヒトに感染するウイルスなのになぜサルの細胞を使うのか。
記事を読み進めていくと、よく言えば手品のようで、悪く言えば詐欺のようなものが見えてきたのです。
ここではベロ細胞を使った仮想化技術について考えていきたいと思います。
感染研のサイトに「Vero細胞の物語」という記事があります。
穿った見方をしないで素直に読むと、感染研は研究に苦心されたんだなぁという印象を抱くお話です。
ですが、穿った見方しかできない当研究所長の目には、この分野の研究ってイカサマだなぁと印象を抱くお話でした。
気になる部分を引用していきます。
ウイルス培養の意味が「培養細胞の死滅」をしっかり理解できた方は、この段落の最後の文の意味がよく理解できると思います。
ベロ細胞が「他の細胞より比較的よくウイルスを増殖させる」という意味は、細胞培養において「死滅しやすい」と言っているに過ぎないのです。
そのメカニズムは「今でも未解明」なのは、「分かっているけど言わない」のでしょうね。
手品師がトリックを言わないのと同じで。
ベロが「真実」を意味して名付けられたのなら、なんとも皮肉な歴史的事実と言えるでしょう。
ウイルス分離による詐欺行為にベロ細胞がどれだけ貢献しているかという事実の前に、失笑するしかありません。
繰り返しになりますが、ウイルス培養とは「培養細胞の死滅」を意味をします。
細胞が死滅するとき、細胞外小胞やエクソソームを放出します。
これで以て、ウイルスが増殖したとウイルス学者は嘯くのですが、その現象を利用してワクチンを製造していることに注意が必要です。
ワクチンの成分にベロ細胞由来の細胞外小胞やエクソソームが含まれているということです。
「サルの腎臓の細胞由来の」ということです。
ここではあまり詳しく述べようとは思いませんが、この段落から「あれ?」と思うようになりました。
ベロ細胞のゲノムについての話なのですが、「ゲノム編集技術」とか「ゲノム配列を決定」という言葉が出始めます。
例えばです。
あるブラックボックスの中身を知りたいと思ったとき、その中身を「解析」するという言い方はあっても、「編集」するだとか、「決定」するといった恣意的にも取れる単語は使いませんね。
まず、ベロ細胞のゲノムを研究者の主観で決定してしまうような、実際のゲノムがどうなのかはとりあえず脇に置いとくような表現に違和感を抱いたのです。
実際、読み進めていくと、その通りであることが分かります。
そこから、ウイルスのゲノム解析は、「編集」もしくは「決定」ではないかと考えるに至りました。
そして、調べていくうちに、その仮説通りであることが分かりました。
詳しくは「第2章 遺伝子配列」でお話します。
この「Vero細胞の物語」もそこで続きをお話します。
少し本質から逸れてしまったので、ここから核心部分に迫っていきます。
この「Vero細胞の物語」の冒頭で、感染研の論文が紹介されています。
この論文の気になる部分を引用します。
Vero細胞は、確立後まもなく、類人猿ポリオーマウイルスSV-40、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、アーボウイルス、アデノウイルスなどの各種ウイルスに高い感受性を示し、その後、ジフテリア毒素、熱傷性腸毒素、志賀毒素などの細菌毒素(またはVero毒素)にも感受性があることが明らかにされた。その後、Vero細胞は世界的に流通し、その応用範囲は学術研究所のウイルス学から病院での診断、細菌毒素の測定にまで広がっていった。
これが何を意味するのか、と言うことですが、ウイルスや毒素に対して「高い感受性」があるということは、「影響を受けやすい」というように読み取れます。
「影響を受けやすい」とは何か?
それはすなわち「死滅しやすい」ということではないかと思ったのです。
それがベロ細胞の売りであると。
だから、ウイルス学において広く使用されているのだと。
CDCの論文でベロ細胞に関して面白い論文があります。
この論文では、様々な培養細胞を用いて新型コロナウイルス感染症患者から採取した検体を接種して、分離するという実験を行っています。
勿論、ここで言う分離とは、ウイルス学における分離であって、単離ではありません。
ウイルス培養です。
引用します。
細胞培養、限界希釈、ウイルスの分離
分離と初期継代には Vero CCL-81 細胞を使用した。
Vero E6、Vero CCL-81、HUH 7.0、293T、A549、およびEFKB3細胞を、熱不活性化牛胎児血清(5%または10%)と抗生物質/抗真菌剤(GIBCO、https://www.thermofisher.com)添加のDulbecco minimal essential
medium(DMEM)中で培養した。ウイルス分離には、NP(鼻咽頭)とOP(口腔咽頭)の両方のスワブ(綿棒)検体を使用した。ウイルスの分離、限界希釈、継代1のために、96ウェル組織培養プレートのカラム2〜12に無血清DMEMを50μLずつピペッティングし、カラム1に臨床検体を100μLずつピペッティングしてプレート全体で2倍連続希釈を行った。次に、10%牛胎児血清、2×ペニシリン/ストレプトマイシン、2×抗生物質/抗菌薬、2×アンフォテリシンBを含むDMEMに、Vero細胞をトリプシン処理して2.5×105
cells/mLの濃度で再懸濁した。細胞懸濁液100μLを臨床検体希釈液に直接添加し,ピペッティングにより穏やかに混合した。その後,接種した培養液を5%CO2雰囲気の加湿37℃インキュベーターで培養し,毎日細胞変性効果(CPE)を観察した。SARS-CoV-2のプラークアッセイは、SARS-CoVおよび中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)のプロトコルに基づいた標準的なものを使用した。
CPEが観察された場合、ピペットチップの背で細胞単層膜を掻き取りました。50μLのウイルス溶解液を、確認試験およびシークエンス用の全核酸抽出に使用した。また、90%コンフルエント24ウェルプレートの1ウェルへの接種には、50μLのウイルス溶解液を使用した。
まず分離培養方法について説明しています。
ここでジキが注目するのは、細胞培養、つまり細胞を増殖するときの条件と、ウイルス培養、つまり患者からの検体を接種した後の条件が、どのように変化したかです。
その点を踏まえて確認すると、ウシ胎児血清は特に変化ありませんが、抗生物質/抗真菌剤の量や種類が増えていますね。
恐らく、CDCの分離培養方法は毒性を強めることで細胞変性効果を引き起こしていることが分かります。
SARS-CoV-2に対する研究や対応が始まっているため、感染しやすい細胞株や種類についての情報が必要である。そこで、SARS-CoV-2が、Vero E6細胞、Vero CCL81細胞に加え、ヒト腺癌細胞(A549)、ヒト肝細胞(HUH7.0)、ヒト胚性腎細胞(HEK-293T)など、一般的な霊長類およびヒト細胞株に感染し複製する能力を検討した。また、入手可能なオオコウモリの腎臓細胞株(EFK3B)についてもSARS-CoV-2の複製能を検討した。各細胞株を高倍率で接種し、感染後24時間経過した時点で調べた(図3、パネルA)。感染後24時間で>107PFUに増殖したVero細胞を除き、いずれの細胞株でも細胞変性効果は観察されなかった。一方、HUH7.0と293T細胞は適度なウイルス複製しか認めず、A549細胞はSARS-CoV-2感染に不適合であった。これらの結果は、これまでのSARS-CoVの感受性に関する知見と一致しており、MDCK、HeLa、HEP-2、MRC-5細胞、胚珠など他の一般的な培養系はSARS-CoV-2の複製を支持しない可能性があることが示唆された。さらに、SARS-CoV-2は、MERS-CoVに感受性のあるコウモリEFK3B細胞では複製されないことがわかった。これらの結果から、SARS-CoV-2は感受性細胞株という点でSARS-CoVと同様のプロファイルを維持していることが示された。
この論文が優れているのは、抜群に新型コロナウイルス感染症のデタラメを教えてくれる点です。
サルの腎臓の細胞から作られた「Vero E6」、「Vero CCL-81」は分離培養の結果、細胞変性効果が見られたと言っていますが、ヒトの細胞から作られた「A549」、「HUH 7.0」、「HEK-239T」では細胞変性効果は見られなかったと言っています。
新型コロナウイルスはコウモリ由来と当初言われていましたが、コウモリの細胞から作られた「EFK3B」ですら、細胞変性効果が観察されなかったと言っています。
これはどういう意味なのでしょうか?
ウイルス学の仮説、つまり、「ウイルスが細胞に侵入して増殖することで細胞を死滅させる」という仮説が、とりあえずここでは正しいと仮定しても、ヒトの細胞やコウモリの細胞を死滅させることができなかったということを言っているのです。
つまり、この実験で新型コロナウイルスがヒトに感染しないと言っているのです。
そして、コウモリにも。
あまりにもデタラメでしょ。
もう少し考察すると、ウイルス培養時に添加した抗生物質や抗真菌剤などの毒物の量では、ベロ細胞以外の細胞は耐えられたということです。
その理由の一つに考えられるのがウシ胎児血清の量を変えていないことが考えられます。
血清は、栄養供給だけではなく毒の無毒化にも貢献します。
恐らくベロ細胞の優秀さ(ウイルス増殖能力)を言うために、このような調整をしているのだろうと想像します。
さて、この論文のおかげで、ベロ細胞が他の細胞と比べて死滅しやすいことがはっきりしました。
ベロ細胞が他の細胞より優れているのは、その死滅しやすさです。
だから、分離培養試験で人間の細胞を使わずにベロ細胞を使用するのです。
まとめましょう。
ベロ細胞は他の細胞と比較して少ない環境変化の影響を受けやすいです。
例えば、抗生物質の量を増やしたり、栄養を制限したりすることです。
他の細胞は死滅させるのに、抗生物質の量をかなり増やしたり、栄養をかなり制限しないと死滅しないので、イカサマがバレやすいというリスクがあります。
その点、ベロ細胞はイカサマが気付かれにくいので、仮想化にうってつけです。
感染研の分離培養方法は、抜群のタイミングでFCSの濃度をこっそり変えています。
手品師のようです。
トリックに気付かれずに、分離の成功確率を高めるのがベロ細胞であるということです。
最後にどうでもいい話で恐縮ですが、ジキが「ベロ細胞」とカタカナで表記しているのは、妖怪人間の「ベロ」のように、この細胞が妖怪みたいだからです。